『テレヴィジョン・シティ』長野 まゆみ

SF。徹底管理されたどこかの惑星の都市で、家族もなく過去も未来も定かでは無い書き割りじみた少年達が… ディストピアの寂寥と少年の抽象を描く無機質な作風がうまいこと噛み合って、とてつもなく寂しい本。後書きか解説だったかの「まだ人類」っていうのが言い得て妙で、人類消滅のぎりぎりの淵を描いてるのがよかったなあ。露悪的なまでに、この消滅しつつあるほとんど透明な少年達を楽しんでいいっていう。人類という現象を抽象していくと、それは性が未分化な少年の形をとって、社会がないから大人じゃないし、未来が無いから子供でもないし…
たぶん、著者の他の奴は私そこまで少年愛にこだわらないんで、好きになれないと思うんですが、+ディストピアでひと味違うんだろうなってところが好きでした。