読んだ本メモ

読んでもどんどん忘れてて最早何読んだか覚えてないんですが、書いてもすっごい忘れてる

 

清水邦夫〈1〉署名人/ぼくらは生れ変わった木の葉のように/楽屋』

清水邦夫〈2〉 雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた/エレジー

訃報をニュースで見てから読みました。玉突きみたいに爽快なロジカルと舞台の上でしか発露されないような激しい情動のドラマチックと、どこかファンタジーみたいな甘さがまとわりつくのが、ものすごく面白かったです。悲惨と絶望の喜劇的な処理はむなしいものではなく不思議に甘い。楽屋、三十人のジュリエットのような舞台の楽屋オチの演劇人を描く戯曲が、多分戯曲って形で読んでるせいもあるんだけど、事象の恐ろしい絶望が、絶望そのまま瞬間の歓喜に転換するような飛躍が素晴らしいんだけど、ちょっと距離を見て業が深いなって思ったりもしてました。舞台で生身の人間が演じたら本当に素敵そうで、大感激してしまうところ。

 

『群盗』シラー 著 久保栄

世界史で名前と作者だけ暗記する古典。日本で久しぶりにやるよってんで配信あれば見ようとしてたらコロナで舞台が中止。演目が珍しいってだけで観ようとしてたんですけど、2.5次元みたいな若手の俳優さんでやるつもりだったらしくて、どんなもんだろと原作が気になってきちゃったんで読みました。

若い!!!!!!! 主人公の若者、とりまく若者、若者達の激情が、すんごい長台詞と悪いことしか起きない悲劇で手に汗握るハラハラ。書かれた時代の閉塞感に若い作者が書いたんだよって解説や、晩年の作者があれは頭の中だけで全てがわかると思ってた年頃のやつ、とか言ってるのと併せてめちゃくちゃに中二的っていうか若いコンテンツでした。大正デモクラチックの学生生活で出会って熱狂したという訳者の青春の思い出後書きもよくて、若い人間ってものを摂取できる本でした。

これを読んだ私が若さを面白がってる時点で、私はもう若くないのじゃ…

 

『存在の耐えられない軽さ』 ミラン・クンデラ 著  千野 栄一 訳

タイトルだけは知ってても、なんか超難しそうで読んでなかったシリ~ズ。今読まないとマジで一生読まないまま終わってしまいそうなので…

ちょいエロ恋愛小説なのでぐんぐん読めるので杞憂でした。スケベは偉大。とはいっても、めちゃくちゃに現代文学してて、めちゃ面白いかったです。

今のソーシャルの感覚と違うっていうか、アジア圏の感覚と違うっていうのか、とにかく個人の存在ってものにめっちゃフォーカスして考え尽くしてる話でした。違うっていう新鮮なかんじある。読んでよかった。

 

『つながりの作法 同じでもなく 違うでもなく』綾屋紗月 熊谷晋一郎著

すごくよかった。自分 と 他人の間について、あまりにも遠すぎる自閉症当事者と、他人を介在する日常送るので近すぎる脳性麻痺当事者の交互に語られる、人とつながり続ける作法。破滅しない人間関係、というか悪くなることもあっても人間やめずに続けてくしかないっていう方法論。これはスタートの状態が悪いところから、生きる方法を探す話ですが、 今健康っぽい人でも老い、病、そんなもので悪くなってくのは当然なので往還するような感覚ありました。

 

べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章 (シリーズ ケアをひらく)』

今の私にはファーストインプレッションではなく、ある程度理解るっていう状態があって、言語化されたもので再確認したってとこあるので、この理念がすでに世界のどこかに根付いてて、触れたことがあったのかもしれません。

やっぱり、病人一人づつの人生抄録が非常に身近に感じられて、人と社会との関わりについてすっごく考えちゃうね… 仕事で一番辛いのは人間関係ってのは医者も同じように一番辛いとか目からうろこだし、患者ではなく生きることは苦労することだから回復が苦労の中に戻っていくことに他ならず、またダメになってくのも苦労したっていうか生きた時間の後だからで再発も肯定する… 仕事も人間関係も人生も自分も持続するってことや、社会生活の最末端であろう仕事ってとこで個人を潰さない組織の仕組って視点でも得るものが大きい。読んで、新しい救いみたいなものを見た気持ちにはなる。

 

ように思うんだが。

そう、私はもう知っている…この非現実の王国が、今は失われていることを。

ってか、出会いは不祥事の話題のほうが先でした。

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そして、この本に出てきた方達がすでに自殺されていること。辿り着いた果ては、ここに来てなくても同じかさらに辛いものだったのかもしれない。

でも、この本に描かれているような時間を人間性と呼んで、それがひとときでも存在したらよかったのではないか。書かれている題材がリアルに人生なので、救済されることをどうしても願ってしまい、そんな雑な願いを書きたくもなってしまうのですが…

Amzonレビューと併せて、いい読書体験でした。私は読書という体験に留めた感想にしとかないと人生まじつらい。やっぱだめじゃーんって。それでも、死や崩壊を内包して続く活動であろうとしているのかもしれないかもなど…何も解決してないが心が救われるという破滅まっしぐらのマジ麻薬なんでこのジャンルの本はたびたび読むし、真剣にもこうして諧謔的にもブレながら読むと思います…

べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章 (シリーズ ケアをひらく) | 浦河べてるの家 |本 | 通販 | Amazon

2019年7月17日に日本でレビュー済み