京都旅行三日目

泊まっていた東寺庵は、本当に東寺のすぐ近くでした。宿の管理人さんに「朝のお勤めを見に行けるよ」と教えてもらったので、ちょっと早起きして見学させてもらいました。
ありがたいことについてきてもらって、丁寧にいろいろ案内してもらいました。
波切り不動も、高野山のほうも拝んだし、仏舎利も頭にのせてもらいまして一通り体験。意味を覚えるというよりも、決まった手順を踏むだけで、それぞれの宗教的意味とかわからないから信心じゃないけど、なんかいつもよりも、素直になったような気がしました。何も起きていないけど、こういう1セット揃った行動をすることで、すごくいい気持ちになって、心は変わるので、不思議なかんじです。毎朝続いていることに、一回だけ参加させてもらいましたが、珍しさと相まって新鮮でした。毎朝続けると、また違った気持ちになるのだろうなー。それが信仰なのかなぁ。
宗教とかハマり易そうなこと言ってますね。でも、外部の刺激で自分が変わる、もしくは自分で動くことで変わるっていうのを、短時間に、少ない行程に超圧縮したのが、宗教体験なのかもしれません。また適当なこと言ってしまいましたが、とにかく東寺はよかった。とにかく猫。朝は猫の運動場でした。防火用水の水飲んでるし、ごろごろ立ち入り禁止区域にいるし、近寄っても逃げないし、広大な敷地に人より猫が多くて亜日常で、朝早いのとテンション高め(でも高揚とはまた違って、ローなんだけど明るいみたいな)なのとで、猫を追いかけてどこまでも走って行きたくなりました。

朝から妙なテンションのまま、京都市内へ。京都市民は、観光客と付き合うのは疲れそうだなーと、無責任に今思います。


三十三間堂
中学校、高校、で今回で3回目。同じ物を見てるんだけど、何時見ても圧倒的です。
創建当時は、極彩色の建物の中にキラキラした仏様がぎっしりいて、極楽バーンみたいな凄さがあったんだろうけど、今の、薄暗がりに差し込む明かりに照り返すくすんだ仏像がどこまでも続く光景もまた別種のすごさがあると思います。極楽っていうよりも、夢の中みたいです。こんな夢は見られないので、現実のすごさなんですが。コリン・ウィルソンの自伝で、とても辛い少年時代に何度も自殺しようとしたんだけど、自殺してしまったら、現実に待ち受ける、今の自分が想像もできないような驚異に会うことがない、ということを恐れて、生きることにしたって話があって、私はこの話がとても好きなんだけれど、そんなこと思い出していました。
あと、フィギュアなんか目じゃないよ。手前に飾ってある像が、どれもとても凄いというのだけはなんとなくわかる。木から、こういう形を起こしたというのが信じられない。こういうのが、「どんなに未来に行っても、進歩だけじゃ作れない物」なんだろうなーと思います。


○自由行動・島原
分かれて、1新撰組博物館、2島原遊郭跡散策、3そのへんを歩く
私は3で、ブックオフとか普通に入ってしまいました。いやしかし、京都も日本だね。品揃えはこちらといっしょでした。しかし、うっかりネクロノミコンと、サラ偽りの天使を立ち読みしてたら、集合時間を逸してしまい申し訳ないことしました。しかも読んでた本が、朝の神々しい体験はどこへやらな罰当たりな本じゃよ。
昼は、大阪風お好み焼き。カウンターで焼いてくれるんですが、ふわふわの口当たりで、自分でやったんじゃとてもこうはいかないおいしさでした。あ、もちが入ってたから余計にふわふわなのか。


永観堂
市内からちょっと離れたところにある山寺で、とても広い境内を登ったり降りたりしながら、部屋の襖絵なんかを見学。

天気がよく、暖かかったので、快適でした。ここで一つ実感したのが、襖絵は暗い中で見るものなのですね。最初日光が差し込んでいるのかなーと思っていたら、金箔が張ってあった雲が輝いて浮かび上がってて、驚きでした。見間違えた!不覚!あの派手な色やキラキラっぷりは、自然光が外から差し込む中で鑑賞するためなんだなー。部屋が池に面しているから、池の反射光がゆらゆらしたりして、アニメじゃないけど絵が動く!昔の人はすごいです。
ここは、見返り阿弥陀という、すっと後ろに目をやるポーズをした珍しい仏像がありまして、正面を向いていない形だけでも珍しいんだけど、あの円筒の半分が顔ですみたいな造形で後ろを振り返っているのに、破綻がないのがすごい。目が大きいマンガ絵でうまく振り返る絵描くとかあんな感覚。不思議でした。
しかし、場所柄ちょっと売り込みに力が入りすぎというか、阿弥陀の解説板に「!」が一行ごとについていたりとか、解説が大音量で延延リピートとか、風情は・・・


南禅寺
の、山門に登りました。超巨大な山門で内部の急な階段を登ったら、屋根のすぐ下の手すりに出て、そのあまりのでかさと、こんなとこ登らせてくれるのかという驚き。
暖かい日差しと、高いところをちょうどいいかんじで吹き抜け風が気持ちよくて、腰を下ろしてうとうと、まったりしてました。閉門間際でなかったら、もっとうとうとできる、快適なところでした。
夏に来た先輩の話では、涼しくてみんなごろ寝していたとのことで、やってみたいです。こんなところで、ごろーっとしていられたら幸せだなぁ。
○水道橋
明治頃にできたものらしい、立派な石造りの橋。いつもは混雑しているそうですが、夕方なので人があんまいないので、不思議写真撮影会でした。


錦市場、新京極
前日に食べた、牡蠣がすごくうまかったのでもう一回食べたかったんだけど、閉まる時間がはやいー・・・。あんま買い物できませんでした。しかし、後は新幹線で帰るだけなので、お土産用でない漬物や生ものを普通に買ったりとかできて、目からウロコでした。近いなぁ。



で、夜の新幹線に乗って東京へ。日付が変わる前には着きました。近いけど、違うなぁーと感じられる情緒もたっぷりで、楽しい旅行でした。ツアーなんかじゃまわらない、変わった場所をまわらせてもらって面白かったです。でも、メジャーなところも、それはそれでよいものでした。金閣寺とかまた行ったら違う気分なんでしょう。
連れて行ってくださってありがとうございました。来年とか、少し時間を置いてから、また行ってみたいです。