2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『アフガン帰還兵の証言』スヴェトラーナ アレクシエーヴィッチ 三浦 みどり訳

おととしのノーベル文学賞。戦争ポルノ的にちびちび読んでるんだけど、なんかポルノにするには、近すぎて生々しすぎるのとどうしようもなくて全くカタルシスではない、このリアル。不条理としか言いようがなくて。こういうインタビューをソ連で初めてくらい…

『自動車爆弾の歴史』マイク デイヴィス著 金田 智之訳

自動車爆弾の誕生とその伝播と進化を時系列で並べた本なので、知らないグループ名や人名膨大で、最初は背景理解が追いつかない。中東以外に、南米でスペインでイギリスで…なのでそこそこ読み飛ばしていくと、その羅列で現われてくる自動車爆弾の歴史というの…

『ソロモンの指輪』コンラート ローレンツ 日高 敏隆訳

ローレンツ博士は、教科書で子鴨を連れて草原を歩くヒゲのお爺さんという聖なる写真しか見たことないもんで聖人枠。 動物博士が動物と暮らすっていう類の本は子供の時憧れた無条件に楽しい本でした。こういうのばっか読んでた。その頃のこと思い出して、楽し…

Tears & Flow

宇宙一カッコいいゲーム音楽……それはTears & Flow!!!!! 耳がキンキンです。サントラ聞くとこのCDだけ音域が上におかしくて脳に刺さりまくり。 サイキックフォース2012という1998年の格ゲーの一曲。珍しい基盤というか、これ一作しか発売されなかった結…

『死者が立ち止まる場所: 日本人の死生観』マリー・ムツキ・モケット著、高月園子訳

外人サンの日本紀行の系譜。伝統。ラフカディオハーンとか、モラエスとか、日本のある面に惹かれるある種の枠の人って、主流ではない疎外された人で過去の死者に囚われているがゆえに、断絶しない死生観だったり、人の世の現世栄達よりも自然との穏やかな付…

「この世界の片隅に」を見て

映画館で観とこうかなと思って、ああ日曜日なら行けるかなーでも1800円だし映画の日まで待とうかな、でも終わっちゃうかもなあ、でグズグスためらってやっとチケット取ったら、なんかもうその時点でなんとなく気が重い。 娯楽の戦争モノじゃないの見に行くっ…

子がいると味わい深い古典シリーズ。2

徒然草の第243段。http://www.geocities.co.jp/hgonzaemon/turezuregusa.html#243dan 作者8歳のときに、お父さんに向かって何なになーに?でその父ちゃんが「問ひ詰められて、え答へずなり侍りつ」と、諸人に語りて興じき」と話したよっていう思いでを、老年…

『烈しく攻めるものはこれを奪う』フラナリー・オコナー 佐伯彰一訳

新年元気があるうちにキツいやつ。装丁が蛍光色と虹色箔でキラキラしててとってもキッチュ。っていうかイカれてるというか。短編は超密度で、ものすごく残酷に感じてグッタリしちゃうんでお試しにどうぞ。 「善人はなかなかいない」http://f59.aaacafe.ne.jp…

『歌おう、感電するほどの喜びを』新装版 レイ・ブラッドベリ

めでたい!新年からこんなにめでたいタイトルついた本ないよっ! ということで新年用にとっておいた本。 新年くらいいいじゃん。表題作が本当に素晴らしい。こんな喜びが描かれたもの読んだことが無い素晴らしい一遍。善…清い涙がとめどもなく流れる。こんな…

『遺体 津波の果てに』『祈りの現場』石井光太郎

良い意味での浅さというか、相手をそのままに受け入れて話を聞いて、そこから先は読者へゆだねる踏み込まない線がはっきりしているので読み物として手に取り易い。広い対象へ向けたテキスト。題材も巧い。と思っちゃう。 『津波の果てに』は少し時間が経った…

『国の無い男』カート・ヴォネガット

著者最後のエッセイ。新年一発目はいい本読みたい。 どんなディストピアSFよりもひどい世界で滅亡寸前なことに絶望しながら、幸せに生きて死ね!