2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『四畳半王国見聞録』森見登美彦

楽しかった。あーやめられない止まらない。大学生のぐだぐだぐだした生活がこんなに楽しい饒舌に。この小説の枠そのものの虚実皮膜を地でいくのが、このお年頃なんだよなあ。明るい、とは違うんだけど薄明かりの温もりというか、しめっぽさというか臭気とい…

2000年古本屋への旅

今よりほんの少し昔。 本は本屋に並んでる新品を買うもので、いらなくなったら資源ごみの日にビニール紐でまとめて出すもので、売るものではありませんでした。古本屋はアングラな場所で、そもそもそんなたくさん古本屋がなかった。古本を売りに行くのに身分…

『勝手にふるえてろ』綿矢りさ

自意識が言葉でみっしり詰まってできてるかんじが懐かしい。そう!こういう言葉でできてた世界に住んでたときもあったな、とおもしろかったぜ〜。うまいし。初めて綿矢りさ読んだけど、うまい。お嬢さん風の著者近影+この芸風で何歳までいけるんだろうか。 …

『 黒部の山賊−定本 アルプスの怪』 伊藤正一/著

山小屋の平地とは違う異世界の日々。黒部を縦横無尽に密漁して山賊と呼ばれた昭和初期の人々のエピソードの日本昔話みたいな世界と、昭和の雰囲気がすごく面白かった。遭難の話で、国鉄職員のグループが休みが無いからと雨の中出て行くエピソードの胸をつく…

『骨董・怪談−個人完訳小泉八雲コレクション』 小泉八雲/著 平川祐弘/訳

小泉八雲大好きなんで。英語の翻訳っぽさを強調した文章で、エキゾチックに輪がかかって面白かったです。この距離感がいい。他の本だとかなり格調高い日本語だったりして、それもいいんだけど、「あら!血が!」とか!マーク多用とか、作られた物語のかんじ…

『日本の名随筆−別巻93』

金田一京助の「片言を言うまで」が読みたくて借りました。淡々とした事実から、嬉しかったんだろうなーとか感じられていい随筆でした。随筆って、昔の発表される機会がわりと改まった場且つ、私的なエピソードで、今はもうあんまり成立しないフォーマットな…

『しみじみ読むイギリス・アイルランド文学』

アメリカ文学編のほうが、ストレートに涙腺狙ってくる技巧派だったかな。こっちは泣きはしない、心の毛羽たちや苛立ちに寄り添ってじわーりニヤニヤっというかんじ。いろいろな作家の質の高い短編+各訳者の熱の入った解説が読めるのですごくお得。シリーズ…

『男と女の家(新潮選書)』

[本]『男と女の家(新潮選書)』 住まうっていう機能について、女しか日中いないから家が女の家になるとか、家の機能にハレとケを分けることとか、一体いつの時代だよ〜 と思いつつ、でもなかなか、家の機能について考えさせられました。今まで寝床と物置と…

『アルバムの家』

[本]『アルバムの家』 女性建築家の組合かなんかの記念誌だったそうで、子どものときの家の間取りとそれにまつわるエッセイ。まず、女性の建築家っていうのがレア。昭和のいろいろなところに立っていて、子供が家族で住んでいた家々は、今はもうどれ一つとし…

『集合住宅の時間』大月敏雄

硬い本かと思ったら、意外に読み物として柔らかくて面白かったです。これも建築雑誌の記事だったそう。集合住宅ができる以前という歴史があって、出来た後どうなっていったか。高級アパートから、団地まで、人が住む場所って面白い。

『住まいの手帖』植田実

建築雑誌への連載コラムだったそうで、建築、とくに一般人が住む住居について徒然。

『父の詫び状』向田邦子

話をうなずきながら聞いてるような心地よい飛躍と転がり方で、最後に追想に色がつくのが鮮やか。起承転結って書き方じゃないんだよねえ。ころころ転がって過去へ過去へ。愛の思い出として肯定すること、お話することは、意味があることでかけがえのないこと…

『オオカミの護符』小倉美恵子

これは労作且つ面白い本でした。神奈川の東横線沿い〜東京〜埼玉の関東に住む人にはオススメ。奇しくも、最近路線相互乗り入れするようになってるルートなんで面白いなあ。 移り住んできた郊外と東京都心の点と路線しか知らなかった人だから、関東のゆるやか…

『NHKスペシャル 赤ちゃん―成長の不思議な道のり』安川美杉

科学の本で7年位前って少し古い本ですけど、赤ちゃんにどんな能力があるかをまとめて読めました。脳が省エネになってくっていうのかな、猿の顔まで見分けられる6ヶ月児から、9ヶ月にはもう大人と同じようにアレは猿、としか認識できないとか。能力が小さくな…