『四畳半王国見聞録』森見登美彦

楽しかった。あーやめられない止まらない。大学生のぐだぐだぐだした生活がこんなに楽しい饒舌に。この小説の枠そのものの虚実皮膜を地でいくのが、このお年頃なんだよなあ。明るい、とは違うんだけど薄明かりの温もりというか、しめっぽさというか臭気というか汗ってか地肌よりは生々しさがなくて、楽しく読めるように上手に加工された青春でした。
ある瞬間が切り取られていて、私には懐かしいけど、これから体験する人はうらやましいなあ。この本読むと楽しいだろうなあ。

どうでもいいんだけど、私が村上春樹嫌いなのは、ノルウェイのなんとか読んであまりのブルジョア学生ぶりに憤慨したからなのでした。翻訳は好き。今思えば、大学生の青臭い虚飾をバブルの時代と併せて、眺めて楽しめればいいんだけど、腹立ってだめだったなあ。