2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『重い障害を生きるということ』 高谷 清

とても読み易い2011年の新書。 山のように本がある中で、クズ本も書き飛ばした本も仕事で作る本もあるじゃん。ジャンル関係なく題材がスゴイとか文章スゴイとかいろいろあるけど、ものすごい本だった。 障害の当事者ではなく、小児医療に戦後間もなくから携…

『社会にとって趣味とは何か 文化社会学の方法規準』北田 暁大, 解体研

社会学とは何か、が本筋で、社会学についての歴史的経緯に紙数多く割いてるんで1年生の教科書かと。その方法使って、オタクの受容史というか社会における位置解説してくという流れ。 オタクという用語が使われた媒体に当たって歴史的に拾ってくところとか豆…

細かい絵の虫擬人化絵本

虫を擬人化した絵本は数あれど、極小の箱庭を職人技のように作り上げるタイプの絵本が大好きで、ついつい買ってしまってます。いつまでも見てしまう…。 小さな物と小さな生き物を愛する感性に、妙に科学的な合理性がミックスされてるとたまりません。 最大限…

怖い絵展 東京

最近調子悪くて鬱なので、午前休とって精神科行った後、時間あったからと、怖い絵展に行ったら心身にマジで堪えました。 ムンクとかモローとかあのへんの不安を共有しまくってしまってヤバかったです。ちょっと行くんじゃなかったかもってくらい、瞬間的に死…

デスレース 2017年版

何の因果かデスレースと名のつく映画を、見かけるたびについ全部見てるんですが、amazonプライムでまさか2017年の今年になって1本見かけてしまいました。というか関連商品に表示される。なぜ好きだとバレたのか。 どのデスレースもだいたい殺人レースを描い…

ダーク・シティ

暗く、美しい寓話のようなSF映画。1998年かあ… なんでか観たことなかったけど絶対好きだから見とけばよかったなあ。今見ても面白いんだけど、若い時に衝撃を受けて偏愛したかったなあ。記憶を奪われた登場人物たちのノワールであり、闇に沈む都市の絵のよう…

『時代遅れの人間』ギュンター・アンダース 青木 隆嘉

前書きが超陰鬱。人類が滅びた後に、廃墟で拾う本みたいなこと書いてある。 人間の尊厳の観念を植え付けてくれた父の思い出に、 人間の後輩にかんする以下の痛ましい頁を捧げる。 iii この最終弁論を描いたのは、より人間的な世界が存続するためであり、もっ…

ファンタスティックビースト

かわいい動物が見たい… という動機だけで見た映画。 宣伝でかわいくうつってたカモノハシみたいなやつの生態があんまりかわいくない!まじか!とは思いつつ、だいたいかわいい物しか画面にうつってなくてよかったです。動物園だよお…絵が綺麗で話も安心安全…

『喋る馬』バーナード・マラマッド 柴田元幸訳

柴田先生チョイスの短編集。一番有名な「魔法の樽」は外したんだと。ちぇっWW2間もないニューヨークのユダヤ人に、良心の呵責という形をとって訪れる現実が、神話や寓話に転換する。抒情と信仰を仲立ちとして成立する。瞬間ではなくて、そこからきっと永遠に…

『生命・人間・経済学 科学者の疑義』宇沢 弘文, 渡邊 格

今から40年前の経済学者と分子生物学者の対談。まるで昨日書かれたかのように、何にも解決してない!様々な問題を挙げて、じゃあこれは現行制度の社会システムや理論のほうに問題があるよねっていうスタンスの対談。 同じ社会が続いてるんだからそりゃ問題も…

犬張子がかあああわいい

犬張子はかわいい。 用途が子どものお祝いというめでたいめでたい祝祭感、犬っていうキャラクター物ですでにかわいい、抽象性高いデザインがいいし、白ベースに黒や赤で締まった無機質さと、そこに手作りのゆがみや手彩色の暖かさがあるギャップ。 犬張子と…

父親の話2 家

自分が給料もらう身になってしみじみ身に染みるが、父親は高給取りだった。 1匹10万円のノーザンバラムンディや、1匹17500円のインペリアルゼブラプレコを群れで買い、熱帯魚のための水道電気代は月4万円×数十年、健康にいい放射能の出る石(天然ラジウムか…

父親の話1 自動車

私の思い出兼ねて、父親の生涯についての話になりそうだ。 私は車にとにかく酔いやすい。車に乗るたびほぼ吐いた。その場を片付けたのは助手席の母親だが、免許もなく機械に弱く車のカギは持たない母親なので、後で消臭なり清掃なり、愛着のある車のメンテナ…

ローグ・ワン

あっ本当にスターウォーズだ。でも悲しい映画。 それでもスターウォーズだからワクワクしちゃうアンビバレンツ。 悲しさシリアスさは123の続きみたいなテイストも思い出されるので、悲しい話題は別枠の外伝映画に振ったのかなあ。

ウルフ・オブ・ウォースルトリート

ディカプリオおまえこの前1920年代の成り上がり@華麗なるギャツビーで観たぞっていう。なぜこんなに成り上がり役をやるのか…… ザ・アメリカっていう役どころなのかもしれません。 愉快痛快アメリカ成り上がりロクデナシ一代記のおもろうてやがてかなし。豪華…

プレシャス

肥満の黒人女性16歳、妊娠して学校は退学になり、帰宅すれば毒親の虐待… 悲惨な境遇のドラマが、娯楽調でもなくヒューマンドラマでもなく、まるでドキュメンタリーのように淡々と進むんだけど、強烈な現実逃避の夢幻のシーンが差し挟まれて、なんだか不思議…

『老人と子供の考古学』山田康弘

キャッチーなタイトルに釣られて。考古学の学問の定義から、著者専門の墓を中心とした考古学、その中から子供のケース、老人のケースのトピック立てなので、その話題をズバリピンポイントの本というよりも、考古学ってな〜に?の一般向けの啓蒙書といった体。…

『昆虫はすごい』丸山宗利

おもしろ博士本かと思って借りたけど、あんまり著者は前に出てこないで、面白昆虫ネタ満載の本。写真のキャプションに「著者を吸血しているところ」みたいなのは十分面白いけど。 急ぎ足の広く浅く紹介に止まれど、今のトレンドな話で子供の時にはまだ知らて…

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

放蕩爺さんテネンバウムズさんが、破産したり晩年寂しくなってきて、捨てたわが子の元天才児たちと元妻の家に舞い戻る話。自分の境遇的に、今不幸な大人の子供時代が描かれるといたたまれないんだけど、なんだかいい映画だったなあ。 テンポと画面づくりが独…

『善意と悪意の英文学史 語り手は読者をどのように愛してきたか』阿部公彦

読んでると、すごい頭よくなったような気がしてくる。本という媒体の誕生時、小説というジャンルが成立する以前のベストセラーだった「マナー本」「礼節についての本」の流れを汲んで、小説は作者が読者に教えるという関係性を内在していること、その作者の…

『怒れ! 憤れ!』ステファン・エセル 村井 章子訳

檄文。短い本なんだけど凝った装丁でおしゃれ。元フランスのWW2の闘士にして、ナチの処刑を逃れ国連の人権宣言の起草に携わり…という現在90才のアジテート。日本人の怒り方と違う。恨みつらみの回復じゃなくて、正義を求める怒り。それは絶対に正しい、とい…

女囚701号 さそり

オッパイにリンチに陰湿なイジメに復讐にレズに見たい物全部詰めで、映画館から出てきたらそりゃ満足して出てきたことでしょう。素晴らしい美人の女優さんなのにこれやるんだもんすごい。復讐ターンの幽鬼のような黒い女のキャラがカッコよすぎて、細かいこ…

ミニミニ大作戦

邦題が酷過ぎる超面白いスタイリッシュカーアクション映画。オッシャレ〜。ミニクーペがとんでもないところを走り回るアクションシーンが凄まじい映像で、それ見るだけで満足するくらい。残虐なシーンもエロ過ぎるシーンも無くて、カッチリしたクレバーな構…

蒲田行進曲

すごかった。私自分がわりと情動の振れ幅大きいと思ってるんだけど、もしかして私は正常でおとなしい常識人なのでは……? と、思ってしまうほど激烈な人間関係。昭和怖すぎる。こんなメンタリティの人間が、今の社会構成している人間の中にいるとか嘘だといっ…