『老人と子供の考古学』山田康弘

キャッチーなタイトルに釣られて。考古学の学問の定義から、著者専門の墓を中心とした考古学、その中から子供のケース、老人のケースのトピック立てなので、その話題をズバリピンポイントの本というよりも、考古学ってな〜に?の一般向けの啓蒙書といった体。
年齢や妊娠有無などで埋葬の形態が変わることで、個人生前の社会属性が見えてきたり、死後の世界観のようなものが見えてきたりするって、興味深かったです。乳児は親と埋葬するとか大人の墓地ではなく家屋に埋葬とか、現象から考える。そこが考古学だと。子供の手形が押された土偶について、幼くしてなくなった子供の形見を親が死んだときまで持ってたのかとか、子どもを置いて死んだ親の墓に埋葬されたのかとか、いろいろな考察が淡々と書いてあるけど、読むとやっぱりウェットな気分になる。