2008-01-01から1年間の記事一覧

『絞首台からのレポート』フチーク

ナチスに捕まったチェコの共産主義指導者の遺稿。獄中で密かに書かれて持ち出され戦後に各地から集められたそうです。著者は戦時中に処刑。 こういう文書って、読者のために主張があって、読者を愛して愛しまくってる。ただの読者なのに、読者でいるだけで、…

『人形の家』イプセン

超面白い。短いのにすごいや。女性解放、の四文字で済まされがちですが、それは一つのエピソードであって、何か魂の変質を書くためのネタに過ぎなかったです。しかも何人かの人間が心変わり、関係の変化を同時進行。そのわりに不在の人間が多いとか、技巧的…

[本]『タイタンの妖女』ヴォネガット

ユ〜モアな作風の最初のやつだそうです。ぶっ飛ばしてますが、普通に単語も話もSFしてました。こんなにおもろうてやがてかなしな読後なのは、もしかして日本語訳のせいじゃないかと思ってきましたが、その後の世界破滅とか人生破滅シリーズ見てるとそうでも…

[本]『美しい水死人』南米文学アンソロジー

世界のあり方から心が映し出されるんじゃなくて、南米文学は過程が逆。心のあり方、人のあり方から世界が変態、変身、していきます。典型的なのが、表題のマルケスの「美しい水死人」。これ南米文学以外に考えられない。あらすじは言っちゃうとそれまでよな…

[本]『レイザー(剃刀)』伊賀和洋

どこ読んでもスゴイマンガ。公式ページのまんまのノリだけど、これが単行本300ページくらいあるんだぜ・・・何もかもどーでもよくなったときに読むか、読んで何もかもどーでもよくなってくるかの2択。そしてこれが、時代劇漫画雑誌に連載だったということが…

『能登の白熊恨みの張り手』山上たつひこ

私は下品耐性があることに、このときほどよかったーと思ったことはない・・・。下品なマンガなんです。何の脈絡もなく何の理由もないギャグが、ほぼ悪意に満ちて展開。不条理ギャグと称される吉田戦車が切ないのはすれ違う善意の悲しみおかしみだからと思う…

『大奥』よしながふみ

ある意味SFな男女ハーレム逆転歴史。いろいろ辛くね?とか思ってたけど、読むとメロメロしてしまうので、あまり気にしませんでした。うかつなことにメロメロしてしまうのでした・・・最初笑い過ぎながら呼んでたんだけど、スルメのように2度3度読むうちに結…

『ヘブン…』 鈴木志保

最初開いたとき、頭使わない漫画かと思いましたが、やられたーなめてたー たしかに感覚ダイレクトに刺激されて脳みそ使わないんだけど、脳じゃなくて神経やられる。読んだ後ふるえたり、どきどきしたりするマンガ。絵がうまい、デザイン処理が超うまい。そし…

『エンブリヲ』小川幸辰

虫嫌いは悶絶するマンガ。描かれた虫で、紙面が埋まってるので触るのもいやなんじゃなかろうか。虫の進化と、人間の生活が決定的に決裂したとき、人間が理解できない虫が超恐い。ナウシカなんかとは違うロマンです。死のカタルシス的な無垢な生物系ロマンじ…

『天顕祭』白井弓子

同人マンガだったそうです。同人マンガといっても、いわゆる金儲けや業界が超からんでくる二次創作とよばれる男女向けのエロ本の市場とは別で、コミティアとか創作マンガを自費出版してる同人の雰囲気。創作しようという気概にあふれたパワーあふれるマンガ…

『病床六尺』正岡子規

病人言いたい放題。超些細なことがらに言及してるので、当時の感覚が珍しかったです。いわく、東京の男子で社説論説なんて読むバカはいない、いわく、家族団らんの食卓というのは最近がんばってるけどないよね、いわく、能楽なんてのも格式高いけど若い人の…

ZUNTATA DADDY MULK 三味線

PRESS START2008で、三味線見た瞬間、まさかこいつが来てしまうかと心拍数がああ¥gふあ 3分から三味線最強伝説。というか、三味線奏者だけがプロで、あとはサラリーマンです。 youtubeのDADDY MULK 三味線 このときの演奏者は誰なんだろう?

ゲーム音楽コンサート PRESS START 2008

今年も行ってきました。チケットがわりとアバウトなS席A席区分なんですが、なぜか超いい席でした。ワーイワーイ 最後の出演者全員がステージに並んだところなんて、走馬灯か、青春の幻影か。およそ現実とは信じられない光景。 1回目のときもちょっと生きてて…

ベティ・ペイジ

あやうく、ボンテージとつなげそうになりました。そりゃエロ本だ。 そして、これは映画。ポルノスター、しかーもSM。裏マリリンモンローという言葉通り、60年代のセックスを描いた映画です。 だ・け・ど。 これ、ものすごぉぉぉぉーく、普通の映画なのです…

『宇宙の果てのレストラン』ダグラス・アダムス

銀河ヒッチハイクガイドのつづき。普通のSFの本だと大真面目で語られてそうな銀河の興亡盛衰が、どーでもいいかんじの小ネタの集合体に拡散してるので、本当人生くらいもうどーでもよくなってきます。なんかSFオチって、夢オチくらい卑怯な気がしてきたけど…

『カタロニア賛歌』ジョージ・オーウェル

スペイン内戦の当時物のドキュメント。社会主義VS独裁者とか国家 という超簡単なロマンな図式にひかれて、誘蛾灯のように近隣の青年芸術家や情熱家たちが、外人部隊として飛び込んだそうです。案の定、あらゆるレベルで打ちのめされるわけですが。戦場の現実…

ゼアウィルビーブラッド

夏の重い映画祭りの最後にとっておいた、「石油と土地と一人の男の衰亡」ときたら重そうでたまらんですよ。 だが、しかし 私がハトのおよめさんだったら、ブッコロブッコロ言いまくってしまうね。 いいところもあるんだけど、ああなぜ、悲劇は喜劇になってし…

『江頭2:50の映画批評宣言』江頭2:50

だめだぁぁー面白いんだー大好きなんだー すごく普通な映画批評なんだー!どのへんが面白くないとか、面白いとかの感性が似てるのかしら私だめな人なのかしらーと一瞬思いましたが、本になってるくらいなんですから、見た目に反してごく普通な感性を、見た目…

『今宵、銀河を杯にして』神林長平

ユ〜モア。笑いをとりにいく小説じゃなくて、シリアスにしない雰囲気が軽くていいです。なぜにどうして宇宙の果てで戦車兵やってんのかしらという、おいしい設定をSFで、航空戦がダメな理由や、戦う相手が人類には理解不可能なヘンな物と、だからこそ理解不…

ダークナイト

バットマン映画。アメコミ映画は好きで、B級映画見たい時とかヒーロー好き好きな気分で、よく見てるんですが、アメコミ映画且つ、これは映画としてすごいことになってるんじゃないなかなーな映画。ヒーローが悪を倒す〜ではなく、今は悩むヒーロー、超人と社…

アリとキリギリス

遊んでばっかりいるとロクなことにならないキリギス。秋の足音でだんだんと数が減っていく仲間を見ながら、今更働くすべもなく・・・ってどこの夢追いフリーター。どこの浅草の空気にだいなしにされた人生の昭和ボードビリアン。 キリギリスが音楽家ってのも…

『鴎外 闘う家長』山崎正和

ファイティング鴎外というと、記憶に新しいのが、鴎外のエリス娘が超自然パワーで銀をまとった戦士に変身して、見世物小屋の女優で来日する大正浪漫っぽい特撮シルバー仮面のリメイク。特撮なので、当然鴎外も縦横無尽にファイッ。 名著にそんなこと連想して…

ひみつページ

はとサブレの隠しページにどうやって入ったのかわからなくなってしまいました・・・。 パソコンのデータ整理をしてますが、コピーにコピーを重ねた惨状で、無限に物が増えまくっているというある意味夢のような状況に困っています。うーん。壊れたと思って捨…

『グッドラック - 戦闘妖精・雪風』神林長平

社交不全で病的な人も、人である以上、人っぽくなり、逆に機械は人を模しても人にはなれないけど、人のマイナスと機械に宿った余計な+アルファが重なる領域。そのへんのSFものの夢が宿る領域に、うっかり感動してしまいました。ユーモア感覚というか、どう…

銀河ヒッチハイクガイド

超超大作映画。見るからに金がかかってるハリウッド超大作と同じような売り方してた記憶があるので、適当に映画館に入った人は、いたたまれなくなってたんだろうなぁと思いました。 意味不明だと、怒り出す人にも、私は同情します。 ストーリーは、ある日地…

HOTFUZZ

いろいろあって話すと長いけど省略して、レイトショー見てきました。話すと長い事情なんか、上映中一瞬も思い出さないくらい面白かったです。快楽係数が高すぎる。ショーンオブザデッドも何度も見てしまうんですが、話が面白いとか音楽サイコーとかバラバラ…

『戦闘妖精・雪風<改>』神林長平

バージン神林長平。これがー日本SFかー。ハイペリオンでアジア人大好きのアジア人ぽい会話がオシャレなら、日本人の書いた欧米人が欧米っぽい戦闘ジョークを転がすのがオシャレー。そして私は日本人なので、日本人が描いた欧米人が泣いたり笑ったりするSFは…

HOTFUZZ

HOTFUZZが映画館で上映されてるなんて知らなかっただよ! 上映終了間近です。えらい面白い映画だという話だけ聞いてて、スチル見たらショーンオブザデッドの二人で吹いた。監督ももちろん同じ。 夏の夜長に、ショーンオブザデッドはいいホラー。5月は3回も…

『シズコさん』佐野洋子

連載小説で枚数ぎりぎりなんで、削るとか編集とか誰もしなかったっぽいそんな適当な本だけども、↑のグロリアさんが、自分の母を著述した記事読んじゃった後なもんだから、ダブルパンチで生理的な涙が。お母さんと娘というのは、父と息子以上に謎で、謎な、謎…

『プレイボーイクラブ潜入記』グロリア・スタイネム

エロ本じゃないよ。フェミ本だよ。 バニーちゃん発祥のナイトクラブ、プレイボーイクラブに、気鋭のフェミニストがバニーガールとして応募した体験記。アメリカ〜ンなシニカルな鼻につく物言いが気になるけど、そういう目的の記事なのです。60年代です。 新…