『鴎外 闘う家長』山崎正和

ファイティング鴎外というと、記憶に新しいのが、鴎外のエリス娘が超自然パワーで銀をまとった戦士に変身して、見世物小屋の女優で来日する大正浪漫っぽい特撮シルバー仮面のリメイク。特撮なので、当然鴎外も縦横無尽にファイッ。
名著にそんなこと連想してる人が読んだので、まともな感想じゃないけど許せよ。

学問の本ではない分野での評論の本。サブタイトルが全てです。評論って何が面白いって、素材面白い以上に著者面白い。評論が、娯楽としても楽しめる時代っつーかそんな時代もあったんじゃないかなーとか思いながら読んでました。娯楽といっても笑う本じゃなくて、なんか学問だと興味ないとタルい積み重ねるな証明なとこを、ダイナミックな直感とか、深いシンパシーみたいなとこで攻めてくるんで、面白い。私は結構感動してしまいました。評論というスタイルが、証明を目的とするのじゃない方向で昇華されてる。

余談ですが、この本は、年齢逆算するとけっこう若い人たちが書いた本です。この重厚な外見は、発売当時すでに、装われていたものかもしれません。というわけで、中読んだら今でも普通に面白いという話でした。