『絞首台からのレポート』フチーク

ナチスに捕まったチェコ共産主義指導者の遺稿。獄中で密かに書かれて持ち出され戦後に各地から集められたそうです。著者は戦時中に処刑。
こういう文書って、読者のために主張があって、読者を愛して愛しまくってる。ただの読者なのに、読者でいるだけで、超肯定される。普通の小説じゃなかなかないです。あと作者とこの文章が限りなくイコールなんで、単純といえば単純なんだろうけど、力があります。プロレタリアとか政治系のルポが、弱ってると読みたくなってしまうのは、こんな申し訳ない理由からかもしれません。
今すぐ死ぬのに、誰かのために、書こうという気力は、私には理解できない理由からであろうとも、圧倒的なエネルギーでした。普通の岩波よりちょっと学術本っぽい中身なんで、訳者にも渾身の一作だったのかも。