『社会にとって趣味とは何か 文化社会学の方法規準』北田 暁大, 解体研

社会学とは何か、が本筋で、社会学についての歴史的経緯に紙数多く割いてるんで1年生の教科書かと。その方法使って、オタクの受容史というか社会における位置解説してくという流れ。
オタクという用語が使われた媒体に当たって歴史的に拾ってくところとか豆知識として興味深かったです。出色は8章の女オタク論。従来のステロタイプオタク観がほぼ男オタクのことで女オタクの存在が無いこと、漫画を読む層が男は大人になるまで読むけど、女は漫画からファッション誌になりオタクしか漫画読まないようになるとか、データで女オタクを説明していくんで、なかなか面白いもんでした。「漫画みたいな恋がしたいか」っていう質問の回答に男女差があることについても、その受け取り方についてそもそもの漫画が男用漫画の男の願望ファンタジーとして受動的なまんま成立する美少女ハーレムと、少女マンガの等身大の恋や女の現実的な困難さ(妊娠!)を排除した理想の恋愛状態としてのBLとか、そりゃ漫画みたいな恋を自分がしたいかと言われたら男女で差が出るよなあとか。あんまり、ちがーうそうじゃなーいっていうのなかったです。社会学についてすごい読み飛ばしてるんで、雑学程度に受け取りました。

でも
調査地「練馬」っていうのが…
絶対的にオタクにやさしい地で、オタク多い土地なんで、もう最初の設定からして日本標準じゃあないと思うんですよね…。こんなに中高生と大人のカバンにキャラのキーホルダーついてる路線ないもん。
Wikipedia練馬区にこんなん書いてあるし実際現実だと思う。

日本一のアニメ企業集積地
東映アニメーション 大泉スタジオ
練馬区は、東映アニメーション(旧:東映動画)や、手塚治虫虫プロダクション手塚プロダクションとは現在は無関係)など、アニメ関連企業数が94社(2007年現在)を数え、日本一のアニメ関連企業の集積地でもあり、これまでに数多くの作品が制作され、またその舞台となった)

漫画家の街
練馬区は、出版社の多い千代田区一ツ橋や神田神保町、文京区音羽などに程好く交通の便が良かったこと、必要な画材を取り扱っている店や街まで近かったこと、誘惑の多い繁華街から少し離れていることもあり落ちついて作業に集中できるなどの利点から、手塚治虫をはじめ、多くの漫画家が住居や仕事場を構えた。

職場があれば、当然労働者が住んでるわけで、アニメ関係、漫画産業従事者っていうのも他地域よりは多いのは当然。家族もいれば隣人も友達もいる。そして電車一本出れば、池袋でアニメだの漫画だのに溺れ放題。基地を練馬と沿線の先の飯能に抱えてミリオタも多いことでしょう… 
とにかく、犬も歩けばオタクにあたる練馬で、オタクが少ない環境では十分にオタクと名乗るような青少年が自分はマダマダ…とオタクではないと名乗るかもしれないとか思ったり、練馬は、練馬だけは日本標準ではなかろうと思いました。