『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』牧村康正 山田哲久

面白いっていう書評しか読まなかったけど、たしかに超面白かった。
ものすごい対人難アリだけど、あくまでもクリエーターなトミノなんかかわいいもんだよこれ。昭和って全然いい時代じゃないわ。人間らしい人間とでも言うか、人間らしさをここまで許す時代というか。あとこの、昭和の業界風景が、見てる分にはすごく面白がれる。昨今、配信や各種イベントで制作者が身近になったことで、表面的なクリーンさが必要で、暴力や不正の匂いが煙たがられるような風潮ですけど、これだよこれこれこれ。俺のために、俺が、俺の力で、とにかくお前は殴る!この自己完結にして、殴る他人がいないと成立しないっていう人間らしさ…。人間を、世の中を変える勇気というか、攻撃できる精神というべきか。変革の方法って攻撃だけじゃないけど、攻撃という手段しかもちえないそのあり方。つらい生き方だけれど、そうとしか生きられなかった。

アニメ史でもあり、関わった各人の略歴に書かれている生年が、なんだか印象に残りました。手塚治虫昭和3年なのか…で60歳で死んだって、生きてれば、今の時点で爺さんな世代でもあったのかって。古くてすごく偉大だったけど、担い手が意外に若くて、走り続けて変質続ける途上で接してたのかと。