『ユダヤ人を救った動物園――ヤンとアントニーナの物語』ダイアン・アッカーマン 青木玲訳

この前読んだ『プリズンブッククラブ』の読書会で、みんなすごく面白そうに読んでたので。未来と自由を奪われた状態という境遇への共感で、とても面白い感想でした。動物園をして善良な場所、とか面白そうに読んでると読みたくなってくる。

WW2中のポーランド占領時の動物園の園長夫妻の地下活動。ナチの自然保護政策の実際は初めて読んだかも。ドイツの動物を他国の動物根こそぎにしてから増やすとか、純血の動物を作り出すとか、人間への価値観と一貫してることに初めて気が付かされました。
先行きの見えない死と残酷さにとりまかれた日々と、動物園という非日常のコントラスト、戦前から戦後までという時間、話題の広さと、何より登場人物が奇跡のように魅力的で面白い本でした。

最近読んだ『HHhHHプラハ』と舞台が同じなのがネガポジ。レジスタンス活動に失敗して死んだ記録と生き延びた記録。どちらにも個人の魅力的なエピソードが出てきて、その唯一無二の家族が出てきて、恐怖の中にも小さな喜びがあり、敵にも人間性があると同時に最悪の加害に、味方の絆の高揚があり…、それでも生死を分かつ物が何の理由もつけられないことで、何とも言えない気分になる