2017-06-23から1日間の記事一覧

『想像ラジオ』いとうせいこう

東日本大震災後のベストセラー。小説をものすごく読んでる人間が書いているな、と感じる技術やまじめさが、功を狙ったり、業界ウケとかそういう一過性のもののためではなく、もっと切実な動機を持って永く解決を祈るために書かれていると思います。超まじめ…

旧版『漁師の角度』 竹谷 隆之

旧版!旧版が図書館にあったよおおおお! 表紙はまるで硬派な写真集みたいな布張り装丁で、中をペラペラめくってもルポ体の文章と、リアルな情景写真。 SF。 新版は 竹谷隆之『漁師の角度』第一話が、ネットで冒頭読めます。ネットだと印刷物より実物っぽく…

『イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告』ハンナ・アーレント 大久保 和郎訳

決して厚い本ではないんですよ。でも、読むのに4週間もかかった…間に一息入れないと読み進められなかった。あまりの残酷さにためらうとかじゃなくて、一般化やイメージを事実で一歩ずつ排していくので、文章一行で世界が変わるのが1ページの中で何度もあるん…

『蜜蜂乱舞』吉村 昭

いい小説。いい本。 という感想が第一にくるよくできた小説で、昭和の養蜂家の1年というとても興味深いドキュメンタリーと、その家長を主人公にしたホームドラマで、構成カッチリ1冊でスッキリ終わるし、読後の満足感もたっぷり。解説見たら、家族大事にみた…