『プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』アン・ウォームズリー 向井 和美翻訳

刑務所の読書会のノンフィクション。刑務所って時点ですごい面白そうじゃん。この読書会で取り上げられている本を、ほとんど読んだことないんで知らない本の話を読むの微妙だなーと思ってたんですが、すごく面白かったです。読みたいなと思うものもあるし、読みたくないものもある。アマゾンで表示してくれるんで、やっぱこれ読んだ後読みたくなる傾向あるんだわ。『ガーンジー島の読書会』『ユダヤ人を救った動物園――ヤンとアントニーナの物語』…

私自身は、本読むの好きだけどそこまで愛書家ってわけでもなくて、華氏451みたいな本への偏愛はできず、生活に比重が傾いちゃってます。本がね、引っ越しで3回捨てても段ボール50箱みたいな生活の疲労で…ダンボール100箱と周りではザラに聞いたことあるんで、全然大したことない冊数なんですが、読まない人が聞いたら信じられないし許せない程度の数。

読書会のようなものに参加したことは学生時代以来ありません。こうしてネットに感想を記録してるのが、他人の感想がリンクされて読めたりするんでバーチャルな読書会っぽくもありますが、たまに見ず知らずの人間からリンク張られてたりという密やかなもので、話し合うっていうダイナミクスは無い。
読書会では、社会生活ではめったに言わないような自分の本音が尊重されて、相手の話も尊重して聞く、そういう個人が個人であるようなやりとりを、本を介してできる独特の場。現実も、人種も宗教も年齢も離れて本については語り合うことができる。ほっといてもそうなるわけじゃなくて、運営する人間の力もすごいんですが。
囚人たちや、参加した著者にとって、現実をちょっと離れた止まり木のような時空間で、生きることの喜びの一つなんだよなあと。やっぱり、本っていいもんだなあ。