怖い絵展 東京

最近調子悪くて鬱なので、午前休とって精神科行った後、時間あったからと、怖い絵展に行ったら心身にマジで堪えました。
ムンクとかモローとかあのへんの不安を共有しまくってしまってヤバかったです。ちょっと行くんじゃなかったかもってくらい、瞬間的に死にたくなってくる。すごい。絵の枚数分だけ何度も落ちる。やべえ。とにかくやばい。

ムンクの絵の、悲しみと絶望、怒りや救いの希求がドロドロと感情いっぱいに湛えた淵ぎりぎりで立ってる、切迫感がやばいなあっていうのは、今この自分だからこその感じ方でしょう。特に説明読まなくても見るだけでヤバイ。
芸術家が伝染病になって伝染しまくってみんなアーティストになって社会が大混乱するSF読んだことがあるけれど、視覚とか嗅覚とか時間を必要としない手段の作品は脳にダイレクト過ぎてやばいのだわ…

芸術と脳って本当に近いもので、最近読んだ記事のラヴェルボレロとFTD発症、FTDの人が描く絵画の繰り返しモチーフの共通性についての記事読んで、そうだろうなあと思ってしまいます。
https://www.reddit.com/r/newsokur/comments/4yte1m/%E3%83%9C%E3%83%AC%E3%83%AD%E3%81%AE%E8%A7%A3%E4%BD%93radiolaborg%E3%81%8B%E3%82%89%E8%BB%A2%E8%BC%89/

そうした事物や理由を超えて、肉体や精神みたいなものと絵の近さを感じたい、絵は絵だみたいな、絵だけに向かい合いたい気持ちもあるんですが、この展覧会は成立や絵の主題のエピソードを全面に出す企画。そんなクレバーな脳で思考して計算した画題に止まらなくて、なんかヤバいのが滲み出すのが画家の力だよなと思い知りました。写実抽象変わらず、だいたいどの絵もヤバイ。


どう見ても暗い怖い絵ばっか並んでる中で、明るい色彩のチャールズ・シムズの絵がよかったです。
女性や子供や妖精をたくさん描いた人で、歴史の女神が子どもに巻物を読む牧歌的な神話の風景を夢のようにかすんだ筆致で描いた『クリオとこどもたち』に、息子の戦死後に精神を病んで巻物に血飛沫を加筆して自殺とかしてるんだけど。エピソード先行だけど、見る人は説明読まなくても、なんだか変だなと思って不安になる絵。
「小さな牧神」と題された母子のテーブルに子ヤギのような牧神パンがいる絵なんか、影も不気味さもなく、この幻想の画題を多幸感のうちに描き切るある種の健全さや夢想家の幸福を感じるもので、幻想と現実が近い人故に、現実の悲劇に耐えきれなかったことがより悲劇的。絵は空気まで輝いてるような色彩で、プリントとは全然違う色でした。現物見てよかった。
ロイヤル・アカデミー会員というアカデミックな主流で成功した人だったのに、精神を病み最後の絵はモチーフや色彩が崩れて抽象というには余りに痛ましいもので、アウトサイダーアートのカテゴリになってく…


不幸な状態がレアではない場所ってだけで、今の精神状態にぴったりな場所ではありました。闇もまた人間のものということで、暗い気分で死にそうな時にこの展覧会って、わりと人生イベントでした。鬱病診てもらった後で、自殺とか他殺とか悲嘆と不幸の巣窟見るのも人生の一興でした!