『死者が立ち止まる場所: 日本人の死生観』マリー・ムツキ・モケット著、高月園子訳

外人サンの日本紀行の系譜。伝統。ラフカディオハーンとか、モラエスとか、日本のある面に惹かれるある種の枠の人って、主流ではない疎外された人で過去の死者に囚われているがゆえに、断絶しない死生観だったり、人の世の現世栄達よりも自然との穏やかな付き合いを望んだりと、共通の資質を感じます。

各宗派の僧侶に直接会いに行って日本人も知らない仏教史と日本仏教の現場、土着のお祭りや神道のエピソード絡めて、死生観を、外人らしい文体で表現してくれる本。震災の津波の話、個人的な家族の死。仏教史や仏教の儀式はなんかこう書かれるとぶっちゃけっていうか、身もふたもない感じがして面白い。品のある綺麗な文章だけども愉快。

装丁が、エキゾチックジャパンしてて美しいです。今あんまり見なくなった綺麗な色の糸綴じで天地が美しいし、紫色の紐もいい色。白いカバーと本の朱色が綺麗。