『野獣死すべし』大藪春彦

装飾の過剰さ。非情で残酷な主人公を飾る、本、服、車、音楽、暴力、装飾過多な文章。
つーかもう、嫌らしいまでに、固有名詞のレベルがたけーよ。レールモントフの小説みたいにとか言われても、わかんねーよー

でも、其れも多分、過剰な装飾の一環なので、わかってる必要もないのかも。そりゃわかってたほうが、いいんだろうけど、中身はよくわかんなくても、過剰な密度に酔うような文章なんで、読むのが面白かったです。やっぱ、犯罪モノはそんだけで面白いんだけど、主題がその犯罪そのものなんで、余計なこと考えずに面白さが純粋。
23歳で書いてるっていうのが、とにもかくにもびっくりよ。暗い熱狂が、すんなり饒舌さにつながってるのがすげー