『白い果実』ジェフリー・フォード

2年前くらい前にコレ面白かったよーと教えてくれたのと、半年くらい前に山尾悠子がキてるよーと、別の2人から教えてくれたので、読みました。結構覚えてるもんです。

悪意によって、人間を人格や精神と肉体の面からも、徹底的に物質化していく様がもうね、きもちいいんだか悪いんだか、わかんなくなるくらい、容赦がない。顔という、美醜だけで判断できないデリケートな場所に、文字通りメスを入れて切り刻み、数値で良し悪しを絶対的に決定する、そんな完全な非情のシステムが支配するファンタジーです。完全な社会からやってきた、悪意の権化ともいうべき主人公が向かうのは、土着信仰が息づく複雑怪奇な辺境の地。対極のイメージの衝突が、とんでもない質量でした。

というわけで、前半のインパクトはすんごかったです。中盤までも、どうなることかと思ってましたが、後半の若干型にはまったような展開を差し引いても、天下に二つとない話だよなぁと、おなかいっぱいになりました。久しぶりに読んだ本が、こんなにおもしろくてよかったです。