『あゝ野麦峠』山本茂実

つまり、本はたくさん読んだほうがいい。
女工モノ」で、同じような本かと思っていたんだけど、

女工哀史→大正末期の、大阪と東京の工場 著者は同時代人のストライキやったりするような労働者
野麦峠→明治〜滅亡からの諏訪の製糸業を俯瞰 著者は大正生まれの戦後の人

女工哀史が、都会の進歩と反比例の文明故の退廃、貧困という雰囲気だったのに対して、限りなく原始的な貧しい農村に、女工という働き口ができたことの違いは、問題にしてることが全然違う。
女工哀史は、同時代問題の本だったのに対して、戦後に書かれた野麦峠は昔、女工だったお婆さん、雇っていた工場主、その他地域住民からの聞き書きの産業史でもあるのでした。視点が多角的、俯瞰的である面白さと、たくさんの資料から一つの主張を強く訴える本との違いでもありました。


どちらか一冊だけだと、偏ってたなぁと実感。しかも、両方えらく面白かったんで、やっぱり本はたくさん読んだほうがいい。
あと、両方とも、発売されるなりベストセラーになったそうです。みんな女工大好きなんだなぁ。