『ジェイルバード』ヴォネガット

SF文庫ですが、ウォーターゲート事件で失脚した架空の官僚を主人公にしてアメリカ経済を書いてて、SF(すこしふしぎな)のほうのSF。
年月を経たことの悲しみや寂しさを、軽妙になんでもないようにやり過ごしていくけど、それを自覚的にやるのはとてもやってられない。悪い事態にハマるのは、偶然に自動的に、運命的に。よいことも或る日突然、悪いことも唐突に特に原因なくやってくる。
自らの信念と引き換えに悪い人生に甘んじるなんて、カッコイイ不幸にはなれなかった男の話。自動的に不幸。年をとってから読むのは、きっととても辛い本なのだと思います。