『戦後少女マンガ史』米沢 嘉博

厚いんで、大変だーと思ってたんですが、すごく面白くてあっという間に読み終わりました。これが、評論か。圧倒的な資料の物量と、考察の的確さ。いろんなことに言及してるのに、ダベリが少なくてすごい。だからこのサイズで収まってるんですね。
少女マンガを、表現の手段として、その複雑な進化や退化を時系列に沿って、時代の要請と技術の成熟の両面から見ていくので、技術と時代の空気の往還があるとか、ダイナミック。
ふと思い出したのが、学生時代に少女漫画を読む男のキモさについて力説してくれた、駐在員の息子。腹立った☆。少女の再生産を生身でやっちゃうようなギャルとか姫とかどう思ってたんでしょう。スタイルだけじゃなくて、彼女達のことを考えられるようになったのかな。
今でも、少女は少女のまま、研究されて説明された秘密もよく知られていないんだから、80年代という時代に少女マンガから考え事ができたってスゴイと思います。