『ハイペリオンの没落』ダン・シモンズ

ハイペリオンのつづき。すごく完成していて隙がない。SFあるある設定を楽しんでエンタメ最高!と舞い上がれるのと、そのへんをまとめてもうひとつ昇華させたい野心もわかりすぎるほどにわかるので、読んでて、楽しさでおなかが膨れる感と、いいもの読んだ!と言い切っても構わない格調や目指す次元の高さがあって、いい本でした。
形式の巧妙さでは、ハイペリオンがショックなんだけど、ハイペリオンの没落の形式が、娯楽小説によくある形かとがっかりしてたら、タダでは終わらない。小説の構成そのものに自覚的でした。油断できない。たしかに面白い。珍奇で美しい語彙も、翻訳SF以上にできすぎているほどに翻訳SF。スタイルと、内容と、小説と、多面が僅瑕なくとてもよくできているとしか言いようがなくて、ここまで面白いと先がちょっと心配で、読むのがもったいない気もしてきました。だって、SFオールタイムベストの中のベストなんだ・・・急いで読むのはもったいないかも。