『定本 何かが空を飛んでいる』

教養。UFOについてそれが現れる文化背景の前半と、後半は19世紀オカルトの概要とか。著者が大学教授の別ペンネームなんで、学問とエンタメと個人の病的妄想がグラデーションのようにつながってることを、膨大な文献駆使して描いてくれて読み物として普通に面白い。文献ガイドとして手元に置きたい本。
アメリカの宇宙人の類型話が、ヨーロッパの小人伝説と同じスタイルで、しかも妖精郷アイルランド移民の線があったり、文化史なんですよね。

地下帝国はあるんだー!っていう大佐がいて、基本理念は変わって無いのに、最初はシュタイナー教育の博士号持ってるような位置から、次にSF雑誌でノンフィクション扱いの連載で大ヒット(SF雑誌の編集者は信じてたのかエンタメ扱いにしてたのか微妙な線)、それでも飽き足らず、地下帝国の意思は石に刻まれてるってんで石を高額で売る、誰にもわかってもらえないので解説した図は死後にアウトサイダーアートとして評価…おもしろいよお。グラデーションなんですよね。

シュタイナー教育大好きの人に、人智学とか19世紀オカルトの流れくんだりを知ってもらって、何の不安に応えてその思想が生まれたのか、なぜ好まれるのか、とにかくこの本押し付けたい・・・