『モレル谷の奇蹟』 ディーノ ブッツァーティ 著 中山 エツコ訳
作者が以前見た、聖女の祠にあった奉納画を思い出しながら描いたという絵に短い文章が添えられてる、という大真面目な体裁をクスクスする本。ヤマアラシ(かわいい)の悪魔が聖職者を誘惑してたり、聖女っぽいものがUFO軍団と戦ってたりする絵を、短くも堅苦しい文章で説明してくれる。これは見てもらわないとわからない。宗教画よりももっと素朴な素人っぽいフォーマットの、定型を見る安心感を裏切りまくって、描かれているものがなんだかヘンテコ且つかわいいという。これはたしかにカワイイを狙ってますよ。もちろん絵も文章も創作なんだけど、虚実をうろうろするこの楽しさは、読まないとわからないなあ。
こんなかんじの絵がたくさん入ってる。コレはご婦人が大きな猫に襲われるるが、聖女のご加護で、聖女が大ねずみに姿を変えて、猫はそのねずみを追っかけていったので助かったという説明が添えられてます。シュール。カワイイ。
モレル谷の奇蹟 |