『百年法』

あんまり頭が良くない系のエンタメ小説なんだけど、長寿社会の果ての実験小説的な趣には大変興味があるところなので、最後まで読みました。ww2後に不老不死技術でドーンと労働者を増やして経済発展して数十年の日本、人間が死なないから行き詰った社会で導入される100年生きた人は死になさい法案、という設定は面白いけど小説の出来はあまりよくない。頭が悪い人間を描くときは筆が冴える。頭のいい人間を書くときに漂うがんばった作文感がすごい。
ディストピア小説の醍醐味は、小説としての成立が怪しくなってくるとこだよなあと思います。

たぶん、現実に近い将来、こういう小説よりはるかに出来の悪いディストピアを生きることになるんだろうなあ…という諦念があります。