『知への賛歌』ソル・フアナ 旦 敬介訳

17世紀末セルバンテス後のスペイン文学最大の作家にして修道女。結婚せず一生好きな勉強して生きてくために、戦略的に尼になったそう。今までぜんぜん知らなかったのですけど、メキシコの紙幣になってるくらい有名作家だそうで。当時のメジャージャンルの難解な詩のベストセラー作家なんだけど、むしろ散文や手紙に現代と通じる感性分かり易いっていうことで、代表的な詩に解説と、現代読者が読んでも意味が通じる書簡集と伝記という、紹介本みたいな。
手紙がさあ…自分を名指しして悪く言うかつての恩師の僧に向けてかかれたもので、物を書く、勉強をする女性の悩みが怒りが、すごーくよくわかる。わかる… 彼女をこざかしい女みたいにバカにする相手の気持ちも透けて見えて、結構苦しい気持ちになる本でした。女は勉強する必要無い、と今でも言うけど、当時は一歩間違えば、いやすでにすごく異端なのに、彼女の勇気。女も勉強してなにが悪い、一人の人間として向上する生き方をしていた人の激しい瞬間。全部の戦いが、自分を理由にした戦いで、悩みも自分自身のものであることがすごい。こざかしい小娘みたいな文章を書かざるをえない状況に立つことからも、逃げず反論を40歳になっても書くエネルギーと勇気。解説込みじゃないとわからないほど、物を書く女の激しい葛藤が、もはや私にはすぎた青春として共感してしまいました。これ17世紀よ・・・
晩年は筆を折るほどの何かがあったけれど、不詳だそうです。
自分の道をいくすべての女性に、特に物書き、勉強する女性にいい本。