『悪女について』有吉佐和子

昭和エンタメ小説でめっぽう読み易くて面白い。事故死が報じられた悪女について、インタビューに答える一人称連作で、悪女自身は最後まで出てこない。匠のエンタメで、露悪趣味からついつい読んじゃう…登場人物は男女年齢階級さまざま。
オホホホホのザーマス言葉使うっていうのはどんな奥様よ、とか土地バブルとか、昭和になってからの階級感覚とか伺えて面白かったです。

しっかし丈夫な女だな… とか思いながら読んでました。一に健康、二に健康。読み終わると、もんのすごい時代がかった「女流作家とは〜」みたいな当時モノの解説がついてきて、昭和のエンタメでした。今のポストトゥルースの時代に読んだからこそなんだけど、敗戦後っていう当時もきっと真実の価値ってすごくゆれてたんだろうなと思います。