覚えているうちに書いておこう PRESS START 2006 -SYNPHONY OF GAMES-

時期を外したもいいとこですが、稀有なイベントだったので覚えているうちに、感想書いておこうと思いました。行った人ならではの臨場感が伝わるとよいのですが。まぁ、2ヶ月経った後でも、こんなことしたくなるくらい衝撃的なイベントだったんですよ。

ファミ通presents PRESS START 2006 -SYNPHONY OF GAMES-
2006年9月22日
渋谷Bunkamuraオーチャードホール


平日夜という時間帯もあり、仕事のある人にはちょっと厳しい開催でした。自分も早退。近くの飯屋で時間をつぶしてから会場へ。ファミ通の前売り(S席のみ)を購入していたので、急がなくてすみました。しかし、このファミ通前売りが曲者で、前売だからといってよい席が来るというわけでもなく、Sでも端のほうとか無節操に割り振られたようでした。
チケット代+ファミ通+抽選応募の往復はがき+手数料が600円くらいかかって、そりゃねぇよー

ちなみにお値段はS席7875円、A席5250円、B席3150円。心情的に、安い席は学生さんや子どもがお小遣いから買って欲しいなぁということで、S席購入。ステージが結構あったので高い席でもそれなりに役得でした。
チケットそのものは、一般販売で即完売のようでしたが、最終的にオークションでも〜3割増し程度で取引されたようで、そんなにプレミアにはなりませんでした。関係者に大分配られていたようなので、そのへんから流出したのかもしれません。後、プレミアになると信じて疑わない空気もあったかも。なーんで高騰しなかったのかちょっと不思議です。
一昔前の「ゲーム音楽コンサート」みたいにストレートなタイトルじゃないので、ネットでも検索に全然ひっかからないし、具体的に話題になりだしたのも1ヶ月ほど前からだったので、そんなに周知していなかったのかもしれません。「オーケストラによるゲーム音楽コンサート」は、すぎやまこういちさん主体で赤字覚悟で業界感謝デーの意味合いもあるイベントだったようですが、今回はどうだろうね。チケットは、オーケストラだと思えば高くはありません。むしろ安め。儲ける気満々でもなし、よい形で開催されたんじゃないでしょうか。だってオーチャードホールなんて初めて入りましたよ・・・


当日は、東京ゲームショーが開催されていたので、ステージ関係者はその足で来ましたって人が多く、お客さんにも上京ついでに来た人は結構いたみたいで、まぁ、なんていうか、客層は押して測るべし。普段着で来てるような人は目につきました。きちんとした人から、仕事帰りの人から・・・大人が多かったです。あとDSと眼鏡。夜遅くなることもあってか、子どもさんはほとんどいませんでした。

入り口でもらったパンフレットは曲目と出演者プロフィールが書いてあるA4大見開きのフツーのシンプルなパンフ。ゲームの紹介とか、発表年月日のデータとかもう少し詳しくてもよかったかも。
場内では、物販もやっていたそうで、1階で特製Tシャツ、行かなかったんですが2階でCD物販していたみたいです。ここで売ってたCDはフツーに買えるものばかりだったのこと。


1部

  • 「METAL GEAR SOLID2 -SONS OF LIBERTY-」

オケの人が揃ったら、いきなり激しいイントロなので、びっくり。美しいメロディーの名曲ですがな。たしかメタルギアソリッド2はハリウッド映画とかやるような音楽の人が造ってるので、無理なくオーケストラ映えすることすること。金管がちょっと変な気がしてしまったけど、なんかもう、そんなことはどうえもいいや。
元々、映画っぽい演出のあるゲームなんで、音楽もカッコよすぎなわけですよ。よく朝のニュースでかかってます。



ここで、前説のお姉さんとお兄さんが登場。お姉さんは田中理恵という声優さん。ゲームの声優をよくやってる方みたいですが、最初は調子が上らなかったのか、ちょっと空転気味。
そしておにーさんは東京ゲームショーから直帰の桜井政博氏。星のカービィとか作った人だー。
いかにもクリエーターってかんじの偏屈さというか。しかし、会場の層からは馴染みやすいことこの上なしな態度だったでしょう。1部は桜井氏と声優さんでMC。ソツなく進行してました。

2曲目で、この明るい楽しいのが来ちゃいましたよ。「何曲わかるかな〜」みたいな前フリでしたが、ぷよぷよテトリスドクターマリオくらいしかわからん・・・10以上のゲームがメドレーされていたと、MCで答え合わせしてくれたんですが、一回きりだったので詳細はわからず。すいません。
短い曲がぽんぽんつながってテンポがよかったです。演奏でぽよーんとかヒュゥゥゥンとか、ゲームっぽい効果音をちょこちょこ入れてくれてて、こそばゆいような楽しいような、おもしろい曲でした。


指揮者の竹井泰蔵氏を交えてのトークでは、オーケストラっていう楽器ってスゴイヨー、楽器一台がものすごい金額で、それを演奏するために人を育てて、しかもこんな大人数で音が鳴るんですよー、ってオケ初心者にはワクワクするようなお話しをしてくれました。しかしゲームの話題になると、「サッカーゲームのスルーパスが、欧米のゲームだと方向指示できるのに日本のは(略」な迷トーク。(笑)個性強い人でおもしろかったです。FFのコンサートを指揮とか、ゲームのオーケストラには慣れてる人なんだとか。

ゲーム大好きなんだよ・・・はさておき、メインテーマ>ガミガミシティ>ポポロクロイス城>氷の魔王>メインテーマみたいなメドレー。
前の「オーケストラによるゲーム音楽コンサート」によくあったようなメインテーマと間奏を絡めたような編曲のスタイルでした。今回の曲目では珍げな編曲。
母を訪ねて三千里なメルヘンの世界観を象徴してる、泣いちゃう系の可憐なメロディーなので、それを弦で悲しくやられたらたまらん・・・っ


糸井重里氏登場。ウワー本物だー。首から提げたカメラをオケに向けたり、客席に向けたりしながらの登場で、会場がぱっとい〜い雰囲気になりました。すげー
&作曲の酒井省吾氏登場。MOTHERの新しいアレンジ盤の宣伝も兼ねて来てました。演奏の後に、いや〜よかったねーってかんじで再登場して、新アルバムのボーカル曲をかけてくれました。オーケストラの中だったんでちょっと印象薄くてよく覚えてないです。すいません。

  • 「MOTHERメドレー」

エイトメロディーズ>スノーマン>(このへんちょっと不明)>愛のテーマ
いやぁ・・・もうそろそろ感極まってくるかんじで。ムーンライダース鈴木慶一とかが作ってるんで、元曲の品のよさは折り紙付き。
明るい、きれいなメロディーに加えて、オーケストラの編曲がとてもよかった。派手にし過ぎず、元曲を生かして、きれいな音楽を作ろうってかんじの方向性でとてもよかった。作曲者が編曲してるので、イメージ通りになったんだろうなぁー


舞台袖からごろごろアンプが運ばれてきてギタリストが登場。窪田晴男氏。音楽やってるからって、ようこそNHKへ!の宣伝なんかしないで!(笑)いい年こいてるって我に返っちゃうから・・・さ・・・・

どんな曲か思い出せなかったんですが、演奏始まったら、聴いたことありました。ゲーセンの体感筐体のレースゲーム、ほらハンドル握ってクラッシュしちゃって百円があっという間になくなるあの類のゲーム。かなり古いゲームだけど、聴き覚えがあったのは、何度もアレンジされてCDに収録されてる曲だったからですね。作曲は、SSTバンド。昔のセガサウンドチームですが、結構なもんだったようでオリジナルアルバムが本物のF1中継でかかったりとかしたみたい。
緊張感と爽快なサビとで、名曲のはずなんですが、セッティングがちょっとイマイチでした。ギターがオケに負けてるようなよく聞こえないような最初入り損ねたような・・・うむ。のびのびした演奏はいいかんじでしたけどね。

の、OP。元曲の人ではなく、木村真紀さんという方が歌ってくれました。エキセントリックで難解な曲なので、歌ってるほうも相当大変だろうけど、聴いてるほうも結構大変。「山岳民族の言葉」みたいに歌ってくださいと指示されて難渋したそうですが、元曲を知ってたから聴けたけど、初めて聴いたらわけわかんなかったんじゃないかな・・・歌が下手なわけではないけど、やっぱりセッティングがうまくいっていないかんじでした。録音で作るようなムズカシイ曲なので、どこまでもライブ向きではないのによくコレ持ってきたなーというかんじ。

ファルコムネオクラシックで、いい曲だってのはわかってたんですけど、とりあえず、聴いてる時まじで死んでもいいと思いました。いやー本当にいい曲だったんだなぁ・・・
1のOPと1のフィールドと、2のOP。
演奏も1部ラストということもあってか、ノってるかんじで、編曲がわりと派手なもんだから相乗効果で劇的でした。




2部


ここから、作務衣でくつろいだかっこの植松伸夫氏がメイン司会。ステージに、桜井氏をはじめ、今回の発起人だというゲーム関係者がわらわら出てきてちょっと壮観でした。子どもの時とかに雑誌で見たことあったけど、本物のおっさんは初めて見たよー
なんつーかノリが宴会部長なので、ユルユルになってまいりました。いいんでしょうか。いいんですね。くつろいだかんじです。

伊藤賢治氏がピアノ生演奏。イトケンだーイトケンだー!
植松氏の直の後輩だそうで、イジリ倒されていました。シンセサイザーができるっていうから採用したのに、俺よりできねぇでやんのーとかそういう先輩後輩ノリで、おもしろトークでした。
ピアノの巧拙はわかんないけど、前みたいにセッティングミスとかなくて、ちゃんと聴けました。
子どものときヒットしたSRPGのリメイクの曲。懐かしいのに新鮮でした。

作曲者の甲田雅人氏登場。会場に新婚のプロデューサーさんがいますよーということで、スタンディング。拍手が贈られてました。
で、これはアクションでネットゲームの曲。多分聴いたことはあるんだけど・・・勇壮なオケ映えのする曲なんで、元がよくわかんなくても楽しかったです。それにしても、年代とかジャンルとかいろんなとこから曲をチョイスしてるなぁー

元曲のボーカルは、ボーイソプラノ。今回は先の木村真紀さん。衣装換えして、さっきとはまた違ったかんじで寂しげな、ゆったりした曲を、雰囲気たっぷりに歌ってくれました。聴き易い歌なので、こっちのほうが声が堪能できました。
で、大島ミチルさんも登場だー。ぽわーんと超然としたお姉さんでした。全く緊張が感じられぬ。だけど、植松氏の「アニメにドラマに、儲かってるんじゃないの〜このこの」みたいなオッサントークを軽くかわすあたりは只者ではない。業界裏話で、大きな会社のゲームの曲作ってたのに、ある日突然連絡がつかなくなってメルアドも全部不通とかそんなこともあったとか。後、CDのジャケットにも書いてあった、ボーイソプラノを録音しに行ったら、男の子なんで声変わりしちゃって急遽現地オーディションのお話しとか。

植松氏が、ドルアーガの塔みたいな曲を作ってくれと言われて、聴いていい曲だなーって思った話だとかを枕に、このコンサート中最もマニアックな曲目。元曲がわかんねぇ!全然!
でも、ビデオゲーム、ゲーセンのゲームってかんじの、どこが切ない、そして底抜けに明るい曲がたくさんで、聴き応えがありました。これは、CD化して曲目つけてくれないと、詳細わかんないなぁ。



近藤浩二氏が登場。チャチャッチャ、チャチャッチャ↑のマリオの曲作った人!
トークによりますと、海外ではゲームのコンサートが開かれていて、呼ばれて言ったらスタンディングオベーションなお方だそうで。この会場ではありませんでしたが。マリオの人だーゼルダの人だーで、年齢を逆算してみると、どうやらマリオの曲作ったとき23歳・・・若い・・・若いよ・・・天才。

メドレーだったけど、曲目は感極まりすぎてよく覚えてません。すいません。アンコールを予感しつつも、ラストだと思うと、いーい気分になっちゃってよう・・・


照明が落ちたところで、ステージに青い照明が灯って

植松氏がいないのにFFの曲やんないのも不自然なり。順当ですね。何度も何度もオケで演奏されていて、バージョンがたくさんあって聴きまくってる曲ですが、なーんでこんないい曲なんだろうな・・・としみじみしてました。

まだ発売されてないゲームの新曲で〆れば、どこにもカドが立たないさ!

数々のゲーム会社の音楽が演奏されたわけで、こんだけたくさんのジャンルの曲が一度に聴けたってことで、演奏もよかったし、ステージ進行も危なげないかんじだったし、肩の力もいい具合に抜けててかしこまった所もなく、変なノリになってしまうこともなく、いい雰囲気で楽しめたコンサートでした。
オタクよりな畑で現在も発展中の音楽市場でもありますが、子どもの頃の思い出っていうのもすごく大きいと思います。ゲーム音楽っていったらファミコン20周年と同じで、懐古の意味合いが大きいのかもしれない。
今小中学生くらいでゲーム音楽好きだと何が好きなのかなぁ。ファン層は年齢逆ピラミッドな先細りだったりして。というか、過去の名盤と呼ばれた楽曲ががばーっと再販されてることからも、ゲーム音楽好きな層ってのが結構年くってるんじゃないかと思う・・・長くなりそうなんでこれはまたの機会に。
ともかく、ゲームショーの時期に併せて毎年恒例になったらいいねーとトークしていましたが、本当にそう思います。たくさん新しい曲を加えて、次回もぜひぜひ。
個人的には、グランディアとかワイルドアームズとか、オケが似合うワクワクするRPGをいくつか呼んでほしいです。




しっかし、事後があんまよくなかった。終演間際に、ステージの作曲者さん方が、ロビー外でお見送りをしますよと。
案の定、大混乱でした。
混むのを見越して遅くに出たものの、もー人が人が人の波が。頭ごしに誰か見えないかなぁ〜とか呑気に構えてましたが、出演者さんがひっこんでから、やっと人の流れが回復しました。
誰だ、この進行したやつ。入り口が狭いので、人が詰まるし、ファンが殺到しちゃうしで、けが人も出たみたいです。身近でふれあえないのは、手が届かなくなっちゃった業界の人なんだな・・・と感じて寂しいことですが、ふれあいより何より、渋谷のオーチャードホールの収容人数を考えたら、ファンとこういう距離はもう無理だってば。

距離感や雰囲気の演出が難しいところでしょうが、今回は最後以外、いいかんじだったので、こういう自然体を演出したスタンスでまたやってくれたらなぁと思います。