『完全犯罪』小栗虫太郎

暗黒っぽい小説読もう週間の〆。暗い。暗い。怪奇、グロテスク、エロ、そしてなんじゃこりゃーという謎とき=あ、エログロナンセンス

「白蟻」って中篇は、廃れた新興宗教の教祖一家が、人から見捨てられたグロい土地に隠棲してて、グロい土地に住んでる間に人間もどんどんグロくなってくんですが、まいった。すんごい。
落盤事故から生還したものの別人のように醜い容姿に変わった夫、あのときのもう一つのグロ死体のほうが夫だったのではと思い悩む妻が奇形児を産む。奇形の理由はあの死体の影響なのか、今の醜い夫のせいなのか、どちらつかずの結論を持ち続けるしか心の平安を得られない。
シュオブの『黄金仮面の王』でも、戦地で男二人が顔を失う怪我を負い、判別つかないので妻が二人ともつれて帰って、怪奇な生活を送る話があってイヤーなオチがついてたけど、こういう他人との境界あやふやとか自分主観で世界が歪んでくようなテーマが流行ってたのかなー。
でも、妻が子持ちだったり、その上その子が奇形で怪しい遺伝話をしだしたり、余計なウソ科学満載で心かき乱されます。愛の行方も、面影を残す夫の妹に性的に向けちゃったり、何がなにやらとにかく怪しい。
怪しいのとカッコよくて美しいのとで、悪の魅力大爆発。

納得するとか謎が解けるとかそういう問題はどうでもよくて、怪しくて先が読みたくてたまんないので、ついつい読んでしまいます。