アンジェラの灰

著者がアイルランドで過ごした暗い、貧しい、湿った、苦しい、子ども時代の思い出の映画。でも、不幸さだけではなく、ごく自然に垣間見せる暖かさがとてもよかったです。病院でそこはかとなく気にかけてくれる、一瞬しか登場しない掃除夫とか、一瞬の行きずりの何気ない好意が、とても大事に書かれている気がします。押し付けがましさはないし、少しシニカルなのも悲しげに輪をかけててよかった。
それにしても、画面全部が湿気で曇っていて、陰鬱な風景ばかり見れました。すごく鬱々とした話ですが、暗い映画ではない。何年か前に、面白いよと言われた気がするんだけど、見てよかったです。