原爆症認定患者第一号『「仲みどり」を探す旅』青木笙子

戦前の弾圧に揺れる演劇を俯瞰、移動劇団の公演先の仲みどりが歩いたヒロシマ、たどり着いた病院、仲みどりを覚えている人たち。様々なエピソードが仲みどりという女優を中心に並べられています。

本としては全体的にもう一つ気もするんだけど、支える事実がどれも圧倒的でした。8月7日の東京行き復旧列車に仲みどりが乗車したことから、あれだけ壊滅した広島から1日で列車が発車していたという事実、列車が出ることがラジオ放送で告知されたという事実、被爆しつつも放送や鉄道を守った職員達の努力があったと。考えてもみませんでした。そういう背景に広く触れられるので、何があったか、を考えるきっかけになり易い本かも。
私には、残念ながらなじみのない名前ばかりなのですが、有名ですばらしい俳優が突然悲惨に死ぬというのは、なんともやりきれない。
苦しみが、やりきれない。