『ウロコ』澤田徳子

この日記始まって以来の児童文学感想。紹介は↓がよくとまっているので見てもらうものとして
児童書読書日記

これよぉ〜 30過ぎてからやっと呪縛から開放されたような気がするんで、この日記書いたら捨てます。欲しい人は連絡ください。文章も巧いし、よくできてる話です。

総括、世界への憎しみ、これに尽きます。正しいことをした故に〜、や、やさしさから、世界への憎しみが生まれるこの構図が、やるせない。
下手に児童文学っていうジャンルのシリアスだから、濃厚憎しみまっすぐ一直線を、読者が脇に逃がせる余地などなく、ゼロ距離で数たたみかけてくるもんだからまさにトラウマ。
憎悪は世界(多数派)に向かって破裂して、少数派もろとも死ぬっていう、超破滅的な話が続くんだけど、まぁ世界自体を壊すんだからその世界の住人誰も生きてけないよね。
今読むと、破滅系SFみたいな楽しみ方できる娯楽としてならよくできた短編集で、完成度も高いんだけど、あまりにも暗い。
また、当時は気がつかなかったけど、女ならではの女への憎しみが隠されてなくて、妙に美少年好きなんで、女への風あたり超強いもんだからそこまでしなくてもいいんじゃっていう。時代ですかね。このあたりの嗜好性とあいまって、娯楽としては優秀。


ただ、これ読んでから20年くらい生きたあとだと、自分が憎むことしか知らない年でもなくなったんだなぁ、と思いました。人生いろいろだ。
ヘンな話なんだけど、文学だったら駄作判定したい気分なんだけど、SF枠とか、ジャンル小説、児童文学ならいい本判定してしまう。児童文学ゆえの書き手の大人のコンプレックス丸出しみたいな困ったことになってるその最たるもんだと思うけど、人生の中で何回か読み返して都度感想が違うのでいい本だと思います。う〜んやっぱり捨てられないかも。