『不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生』レベッカ・スクルート著、中里 京子訳

面白いノンフィクションでした。すごく一般的な実験用の細胞が、ある一人の黒人女性からとられたものだっていうネタから、著者がその結末まで力を尽くして追いかけるだけじゃなくて、関係者にすごくコミットするタイプのノンフィクションなのだけど、正気、常識、狂気、宗教、感情、いろんな方面にバランスがとれてる視点で不快感が無い。というか全部詰めですごく面白い。細胞を知る医学ノンフィクションでもあり、一人の女性の家族史でもあり、アメリカの黒人、医療問題の社会史でもあり、ボリュームに見合ったいい本だなぁと思いました。