『ナルニア国物語』C・S・ルイス 瀬田貞二

全部通して10年ぶりくらいに読みました。もはや日本語が古典で格調高いので、大人になったのに児童書の単語がつらい・・・そろそろ新訳があってもいいんじゃと思います。
大人になってから読むといちいち意味深過ぎて読むのが止まるんだけど、サクサク楽しく読んでいいんだろうとも思います。
『馬と少年』が一番素直に好きです。あと、下の文章が今の自分の境遇を勝手に重ねてしまって感動しました。

「あなたには、それでけっこうでしょう。」
とブレー。
「あなたは恥をかいたわけではないのですからね。けれど、わたしはなにもかも失ってしまったのです。」
「わが友よ、」
と仙人がみんなの知らないうちにそばにきていいました。仙人がはだしで歩くと、露にぬれてしなやかな草は、音がしないのです。

「そなたはいい馬じゃ。そなたが失ったのは、うぬぼれだけじゃ。いやいや、わがいとこよ。そんなに耳をふせて、たてがみをふるでないぞ。そなたがさっきいってたほど、しんからへりくだった気もちでおるなら、ものの道理をきくこともまなばねばならぬ。そなたは、あわれでおろかな馬たちのなかにいたため、じぶんをえらい馬だと思うようになったが、それほどえらくはなかったのじゃ。もちろん、そなたは、ほかの馬たちよりも勇ましく利口ではあった。そうならざるをえなかっただけのことじゃ。だからといって、ナルニアでもひとかどのものだというわけにはまいらぬぞ。しかし、そなたが、とくべつなものではないとさとるならば、あれこれと考えてみて、まあ全体としては、そなたはひとかどの馬にはなれよう。さあ、では、そなたとそちらの四つ足のいとことで、台所の戸口までおいで。ゆがいたふすまの残りパンをしんぜよう。」