『HHhH』ローラン・ビネ  訳高橋 啓

戦争の当事者では無い世代が、戦争について書くにはこれが一つの回答かも。ナチ高官暗殺事件を題材にした本。文中の「コールオブデューティ」(一人称視点で銃撃つ(FPS)ジャンルの超有名なPCゲーム)なんかへの言及から著者若いんだろうなと察したら本当に若い。1972年生まれかよ。すでに世間にある答えに満足しないで問い続ける考え続ける、その末に獲得した回答なんだと思います。恥ずかしながらこの事件を知らなかったから、ノンフィクションなのにリアルタイムで結末を、今まさに著者といっしょに待つこの一体感はすごい。小説ではなく、ノンフィクションのジャンルでもなく、言葉で新境地開く試みなんで純文学でした。これほぼ同世代で読めてよかった。逆にすこし上の世代だと、著者側のイベントっつか固有名詞に馴染み無いだろうし。


そういうわけで私はローレライの表紙が綺麗だったから買ったことをいまだに恥と思うわけです。もー。