『黄金の少年、エメラルドの少女』『千年の祈り』『さすらう者たち』イーユン・リー著 篠森ゆりこ訳

黄金の少年〜がよかったので、いくつか読んでみました。どれもものすごくよかったんだけど、一番好きだったのはエキゾチック感満載なデビュー作の千年の祈り。技巧詰めまくりの結晶。英語で中国を描くっていう距離感が工芸作品みたいな印象でも、描かれてる悲哀が凄まじいでよ。黄金の少年〜のほうが収録作品の話題が現代寄りなので小説っていう小説してて読みやすい。
長編第一作のさすらう者たち、長い小説の長さが存分に生かされててこれもすごい面白かった。長いから面白い。70年代中国の実話を元にしてるそうなんだけど、SFかよってくらいの残酷な異世界で現代人の理解の及ぶ人間が生きてて、なんだか読んで本当すごかった。親と同じ時代に、いっしょに大人になれない、親が大人のとき自分は若すぎるし、大人になると親は年寄りすぎる、そのどの時点でも世界が移ろってて同じではないっていうのが中国激動過ぎ。親子の話なので、人生の節目的にもジャストタイミングで読みました。