『紙の動物園』ケン・リュウ

中国人のアメリカSF作家で世界中で大ヒット中。特に中国と日本。きれいな装丁なので、内容と合わせてプレゼントする本としてもものすごく喜ばれそう。読書好きだともう持ってたりしそうだけど。
中国とアジアのエキゾチックが目新しくも、センチメンタルで繊細な美しさを扱ったSFの子孫で、決して露悪に傾くことなく、美しく壮大な極小の物語。訳者おすすめの最後の一遍が、美しい奇想の氾濫で本当に面白かった。センスオブワンダーの世界で、触れる最初の驚きを減じたくないので、タイトルだけ知ってる状態で読むのがいいと思います。
でも、2編目は由来もわからないとちょっと日本アゲアゲすぎで引くかなと思う。震災のチャリティーのアンソロジーに載ったものなので、日本が理想の穏やかな黄昏の国として書かれてます。黄昏ということは当然ディザスターによる人類破滅話なんで、これを震災アンソロに載せられるのがSFジャンル。

>追記 訂正2016/5/14
2編目「もののあはれ」の初出、日米作家集めて日本をテーマに書いたアメリカのSFアンソロを、和訳して日米で同じ本出した『THE FUTURE IS JAPANESE』は、震災後に出版っていうだけで、震災チャリティってことではなかったです。読んだ当時、チャリティ要素なのか日本アゲアゲの作品多いなっていう感想でした。