『あなたを選んでくれるもの』

執筆に詰まってた映画製作者が、フリーペーパーの「○○円で譲ります」欄の人たちにインタビューした実録エッセイ。オモコロみたいなネットの実際に行ってみた系の企画記事くらいの軽み。脚本を想像して書く作業と、ネット社会にどっぷりの希薄な現実感を、実際の物事で埋めようとする動機は、突撃企画系の記事いっしょだと思うけど、それで著者が前面に出て内省をあけすけに書いたドキュメンタリーになるのは、アメリカの今の本っぽい雰囲気。パソコンから取り残されている人たちに会っていて、この紙媒体もなくなっていくと会うことは決してない、いやこの人たちって、今でさえ出会うことはない社会からはみ出てる感の人々だと気づくとか、気づきの積み重ねが、即時的な洞察で表現されてるので、軽く読めて面白い。