『アメリカを変えた夏 1927年』ビル ブライソン

アメリカってなんとなくいいもんだなみたいなボンヤリしたイメージだったんですが、50年代を書いた『ザ・フィフティーズ』読むとクレジットカード社会が始まった経緯とか、奥様は魔女みたいなアメリカンな豊かな郊外住宅のイメージが復員兵のための住宅造成からとか、何事にも始まりがあること読めて面白かったもので、こちらはそれより古き良きアメリカ、大恐慌直前のめっちゃくちゃに元気のある若いアメリカのことが膨大なエピソード集として読めてものすごく面白かったです。まじでSF。こんな時代があったのかっていう異文化もいいところの、凄まじい時代で、こんな時代の最中や過ごした後に、今まで読んでた小説が書かれたって考えるとなんかもうものすごいな。グレート・ギャッツビーの、あのきらびやかな倦怠、絶頂のあやうさ儚さ、これが丸ごと時代だったんだなあっていう。
何もかも若いもんで、連邦準備銀行なんてできて13年だから、トップも若いし、やることも失敗するか成功するかよくわかんないし、組織が機能してないもんだから人間の個性で偉業が達成される時代。

エジプト風装飾っていうのも、考えてみれば当たり前に、古代からずっと人気の伝統的な模様ってわけじゃなくて1922年のツタンカーメン王墓発掘の後で流行して、で、アメリカの映画館っていうのが白黒とトーキーの境目で、大型化と想像つかないくらい豪華興業路線に乗って大流行とか、今までぼんやりとしてたことがみるみるつながる面白さ。

個々のエピソードで一冊本になりそうなくらいめちゃくちゃ面白いのに、1927年夏という絶頂の3か月に凝縮されてるっていう、熱気あってほんと面白い本でした。

そうそうこれ読んだら、読みたくなったのが1930年代禁酒法時代ラノベの『バッカーノ』。面白かったから続き読みたい。移民の人種ごとの雰囲気とか豪華列車の大鉄道時代とかマフィアとか警察の機能しない具合とか、この本で読んだことだいたい面白く使ってたんで、作者超すげえな。…20冊あんのか…そして時空がその他シリーズ何十冊も連続してるのか…