『お嬢さん、空を飛ぶ 草創期の飛行機を巡る物語』松村 由利子

与謝野晶子の評論のタイトルにあった「ス穣」とは誰なのか調べるうちに、1916アメリカから女飛行士キャサリン・スティンソンが来日、大正モダンな少女たちが彼女に送ったファンレターをアメリカの図書館で発掘し〜という冒頭から、黎明期の飛行機への情熱をうたった女性歌人や、初めて新聞記者として飛行機に同乗した女性記者、当時の飛行機を巡る新聞社の大競争、など大正文芸と飛行機の関わり、日本の女性パイロット近代史を一般書よりちょっと固めで、とても情報量多いのに読み易く紹介っていう良書。いい本。題材が希望にあふれているのと、筆が確実で明るいので読後がとてもいいです。これは人に薦めたい本。いい本。

著者が歌人、元新聞記者で筆が非常にバランスとれてて好ましいので、子育て短歌を評伝した「こどものとも」連載なんで絶対面白そうな『子育てをうたう』、科学が織り込まれた短歌の評伝『31文字のなかの科学』、評伝『物語のはじまり――短歌でつづる日常』も読みたいです。

Web連載。物についての短歌の評伝。このスタイルでいろいろ読めるっていいなあ。
http://kaze.shinshomap.info/series/tanka/01.html