『戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争』高木徹

超有能がやる仕事。素晴らしいリーダー、効率的な小編成のチームワークに、効果的な戦略とアイデアのすごいビジネスを取材した本。この超辣腕が、国家をクライアントにして、いかに我が国が迫害されて困ってるかという宣伝をして、戦争を有利にするっていうビジネスで振るわれる。マジでびっくりしたんだけど、「民族浄化」っていう言葉は、ボスニア紛争で両陣営やってることをセルビアだけが悪いよっていう宣伝のために、ホロコーストを連想させる風だけどズバリの言葉じゃないっていうキャッチコピーとして作られた言葉であって、それまで存在しなかった言葉なんですよ。しかもチーム!3人だけのチーム作。
悪いことなんて両方やってるよ!と言った現地の国連軍の司令官は邪魔なので、メディア戦略で潰す。当然人生はめちゃくちゃだ。各国の政府に人脈あるし、弱小国の大統領の感動的なスピーチも書くし、間違いではないけどクライアントに有利な情報を加工する。あっちが悪の帝国だよっていう宣伝は、後の連合軍による空爆にもつながってく…

戦争や、政治を動かすのが、部外者、しかもお金の論理っていうかビジネスの理屈で動くんで、こういうことしちゃっていいのっていう、根源的なことは思わないでもないけど、とにかく超ビッグビジネスで呆気にとられてしまいました。単純にそいつらの仕事ができるっていう個人プレーで、世界とか人類とかの運命が変わるって、ゴルゴのまんがみたい。あれ、単純にしてキャラクター性つけまくったもんだとばかり…