『忘れられた巨人』カズオ・イシグロ

これはなんなのか手さぐりしながら読んでいく不透明感がものすごいのに、作者が巧くて有名だし、ものすごく読み易いので先が安心という矛盾。寓話ともファンタジーとも。物語の枠に入りそうで、小説なのか。起きることは明確で、読み終わって満足なんだけど、他の人の感想が読みたくなる。
でも、確かに現代の小説だなあと思います。昔の小説じゃない。

『わたしをはなさないで』があまり好きではない、と昔感想を書いたけどこの本何度も何度も思い出すんだよね。私は感情を揺さぶられるのが嫌なもんでテレビドラマとか見たくないんだけど、小説にしてもそれがテクニックに堕した三文小説の条件みたいに思うとこあって、泣くのを目的に読もうとかポルノ的に消費するような態度とってたんだけど、感情を揺さぶることそれ自体を評価するようになりました。
感情も人間の一部だもんなあ。