『不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか』 小島慶子、田中俊之著

男の社会学者(男性学)と女のアナウンサーの対談。
男の最低条件が正社員みたいな価値観やめようよっていう本。そして、女も昭和ママが理想みたいな価値観はもうムリだしっていう本。古からの話題かつ今トレンドな話題。
女がしゃべっているのかと思ったら、男のターンだったりその逆もあり、自分の固定観念があぶりだされる。

女の前書きが、男はちょっと嫌かもしれないので、男に読ませるならそこはテープでとめといて本文からどうぞ。女が書いているというだけで二流で間違ってるっていう思う男、結構いるんだよね。だから男女の対談っていうこの体裁はとてもいいです。

大学生のとき、プレゼン授業でジェンダーというテーマを採用して「男らしさと女らしさの復権」をうたい、映像作品を作った男の子がいまして、男女それぞれの特性も無視するべきではない価値があるっていう要約掲げて、そこはとてもいい視点だし、上手な映像編集した力の入った発表だったんですよ。
ボクシングで激しく戦う女の子、しかし実は茶道をする大和撫子でもあるという。その後に、いろいろ実例映像をカットインで並べて、少女マンガを読む男は×…とか続けて、このバカは「男の趣味が一流で素晴らしい、女の趣味は二流」という映像を作っていることに、まったく気が付いていなかったのでした。バカか。
でも何が悪いのかわかってなかったし、一生考え方を変えられないと思う。
女だってだけでディスられたら女はそりゃ一生覚えてるわな、のカルチャーショックでした。大学にはいろんな人が来るからね。優秀だからといって常識が同じとは限らない。

とても面白い新書なんですが、これを手に取れるきっかけが男にあるんだろうか。この手の本に慰撫してほしい人に、手に取りやすいかんじのタイトルだよなあと思いますが、読者は男女どちらか多いのか気になるところ。
私は女なんですが、女のことは物心ついて以来いろいろ考えるけど、男の事情は他人事でした。競争するときには不当に不利益を被る対立した存在としてしか出会わなかった、認識しなかったっていうの省みてました。
自分の親世代を自立した大人のロールモデルにできないし、破たんするっていうのは受け入れねばならないし、自分が今の時代を生きるためには必要な価値観でしょう。