『人間失格』太宰治

読んだよ…最後まで読めました。
赤ちゃん帰りモノを収集する今のこのわたくしになら読めました。昔はあんまりにも腹が立って読めなかった。
スゲーなこれ。
私、赤ちゃん返りジャンルが謎で好きでしょうがないのですでにライフワークになってる感あるんですが、『人間失格』最後のあたりの絶対免責も似たようなもの感じる。
(戦争を)乗り越えられないときに、過去とともに死ぬか、過去をなくして人間(大人)やめるか、それとも善も含む過去を捨てて変化した悪人として振る舞うか。赤ちゃん帰りも、そのパターンですね。人間失格は、幼児時代も神聖じゃないんで廃人になるしかないわなあ。なんか文学者全然幸せになれないんだけど。

自分は意志も判断も何も無い者の如く、ただメソメソ泣きながら油井結衣だくだくと二人の言いつけに従うのでした。(中略)堀木のあの不思議な美しい微笑に自分は泣き、判断も抵抗も忘れて自動車に乗り、そうしてここに連れてこられて、狂人という事になりました。いまに、ここから出ても、自分はやっぱり狂人、いや廃人という刻印を額に打たれることでしょう。
人間、失格。
もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。
(中略)いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
(中略)
「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした。」