パーフェクト・ワールド

クリントイーストウッド監督主演+ケヴィンコスナーのダブル主演という超男臭さ漂うキャプション。脱獄囚と少年のロードムービーという破綻する未来しか見えず常に抱える重苦しさと、甘い郷愁さそう少年の日々と…わかり易い映画ではありますが、やはりこれも一種異様な映画だと思います。とても苦い映画。でも、それは必要のある苦さというか。

クリントイーストウッド映画本当に面白くて今年になってハマってました。暴力やマッチョ、ヒーローを描くんですが、賛美ではなく異形だという自覚があって、異様な迫力。それらは、この世からなくなったりは決してしないもの。一瞬の光と闇ですねえ。
有能なテキサス保安官、そして少年の憧れを一身に受ける脱獄囚もまたヒーローなんですが…だがしかしのその先というかその裏というか。同時に茶化すことなく光の部分の本物本気のヒーローを描き切っていてカッコイイのでやるせない。こういうものだっていうことなのかもしれないです。パーフェクトワールド。またこのタイトルが、すべてが終わった後にやるせない。
音楽が異常なのも不思議な印象。明らかにちょっと変だなと思う音楽流れるんですが、意図を感じるこざかしいかんじはなく、ごく自然にそれしかないだろうっていう受容してしまう異常さ。

ミスティックリバーでの、被害者がやがて闇に取り込まれていく流れみたいなものにやるせなくてたまらないものがあったんですが、共同体に対する穢れという概念が近かったかなあと思います。スケープゴートのような。表面には出てこない何かに魅了される。

全てを描くってことで、寛容さの話ではないのかとも思えてくる。最も反対の概念なんで。