ミュシャ展

話題の。たしかに、ものすごかった。美術館に1600円払うとかそういう枠ではない。もう、一生見る機会が無いんだなあ…

1 デカい
こんなデカイ絵見たことない×20。あまりにもデカくて、何を見ているのか、体験に近いですっていうか、もうVR。視点をぐるぐる移動する時間あるとVR感ある。デカい絵って、想像を絶するデカさなんですよ。日常で見るモノと比較が難しいな…高さがマジで電柱(6m)くらいある。図録で細部や全体を見られたりするんですが、大きさが完全に違うので、もはや間違ってるというか、本物を見る意味はデカさという一点に尽きる。

2 美しい
しかも、ミュシャなんでとても美しい。絵画ですが美男美女にドラマチックな戦闘にあざとい意図に、俗っぽいイラストレーションの即物的な満足感ありのデカイ絵×20。イラストレーションとつい言いましたが、美術界とかできる以前のものすごく古いタイプの絵画というか、わかりやすさ、見た瞬間の訴求力、など商業で鍛え抜かれた技で観る人間を想定して計画されているというか。
幻視の光景が入り乱れる、歴史の黎明の頃を描いたNo.1 、2、3が特に印象に残りました。夢のような、霞むような奥行きに分け入っても分け入っても理解しきれない。私が知っていたいかにもなミュシャとはまた違う絵。でも、親切でサービス満点というか。

3 キャラ物
人間を描いた絵です。ものすごいキャラが立ってるんですよ。史実は知ってるとキャラが立つんで、フス戦争まんが『乙女戦争』を描いてる先生のブログを読んでから行って、終わった後にもう一度。
http://blog.livedoor.jp/koichi0024/archives/55652233.html
そういう表現方法の人なんだろうなあと思いますが、描かれた人間に、デフォルメされた魅力がある。商業的な絵を見るのに近い感覚あるほど。しかし戯画とか風刺画ではなく、立派で美しい人たち、英雄の絵なので、とても好ましい印象の人たち。市民会館のために英雄描下ろした絵は、動機もそうですが、中国の人民のための芸術とかあのあたりにも通じるものある。でも、圧倒的に美しいんです…

4 マンガ
後半、商業作品も展示。デカイ絵だなあ。この手の絵も本物は全然見たことがなかったので、とにかくデカイなあという印象。ポスターだし。量産して飾るための図柄なので、とてもとっつきやすい見た目とデカさで満足感ある。
この、この色使いと塗りを私は確かに知っている… マンガやファンタジー系統のオタクな絵の中で、孫のひ孫のその友達みたいな表現とすでに出会っている…。ミュシャ風枠は当然で、それ以上に巻き毛の表現方法とか、クッ、クランプのあのXのほのお使いのお姉さんの巻き毛とかあの時代の巻き毛処理でよく見たやつミタイダナアレダ〜見たコトアルヨコレ〜 とか一人で感慨深かったです。塗りも、山田章博とその無数のフォロワーの淡くて境界に反射光の色刺すようなアレね…あれはこれだったのかっていう。漫画絵なのに肉感的っていう、山田先生の感触が懐かしくお思い起こされました。下絵の白黒線画になると、本当にマンガ表現みたいで線の魅力でした。


わかりやすさの先に、日常を超えた感動もありました。空がとても暗いんですよね。暗雲の曇天の下に広がる、輝くばかりの明るい荒野、を埋め尽くす死体と嘆く人々…。白く明るい大地が印象的でした。滅びる運命の人たちの祭り、遠く海まで続く群衆の灯、頭上には争う神々… 演出された作品として、とても親切なので快適な鑑賞でした。もう一生見る機会が無いんだなあ…




あと、ものすご〜〜〜〜〜〜〜く混んでました。タスケテ。そこにベビーカーの母さんとかいるけど押すも引くも地獄の込み具合。無理。
図録だけ欲しい人はネット通販で買えるんで、おうちにかえりましょう。図録重いし。地下と、エントランスでも売ってますが、そっちも激込み。グッズコーナーは、展覧会見た勢いでポストカードなど欲しくなりますが、1時間レジで待つのはちょっと…こっちも通販してくれないかなあ。でも本当にほしかったグッズは絵をそのままどーんと配置したクリアファイルでして。そういうのが20柄欲しかった。発色良くて、紙印刷よりも飾り映えするんで。