『死者の書・身毒丸』折口信夫

スーパー難しそう〜という思い込みあった本で、これがセピアの紙に岩波のギッチリ詰まった本文だったらスーパー難しい印象のままだったと思うんですが、新しい組で読んだせいか、なんかラノベ並みにすっきり読めました。新しい版で読もう!

振り仮名がカタカナで一人称で恋の怨念うなってるのが、ぱっと見ラノベの始まりっぽいんだな…文体はそれだけじゃないんですが、ドラマとか普通に小説してて驚きました。古語の雅な文体ではあるんだけど、なんかこう、もっと古典みたいなやつだと思ってて、近代小説じゃないと思ってました。同収に近代小説であるという自身の解説があって、だよね〜と。作中に「たぶう」という用語紛れ込ませる軽やかさとか、型を知り尽くして自在だからこその囚われない自由さ。視覚や時間の操作も、映像の時代の作品だなあと感じます。
読み取れていない部分が多い豊穣、文章のパーツ単位でも素晴らしいのに全部がすごいのと、読んだことないものを読むフロンティア感、とにかくものすごく面白かった。なんかすごい終わり方のカタルシスあった。
身毒丸」は演劇の名前で知ってはいたものの、こんな話だったのかと、こっちのほうは現代語による古典再生みたいな風。