『エロマンガ島の三人』長嶋有

中編と断片のような短編の短編集。文芸誌ではなくエンタメ系に連載された小説。

ゲーム誌の企画でエロマンガ島エロマンガを読むグラビアを、桃鉄エロマンガ島が出てくるからスポンサーに… って実録じゃねーか!と思ったら、ファミ通バカタール加藤氏の実話を聞いて小説にしたものだそう。実話ベース…
あとがきはバカタール加藤氏。
南国へ逃避行する小説らしいイマジネーションのふくらみと、、ゲームの非現実感とが相まって、生々し過ぎもせず、実話みたいな迫真性と同時に存在する適度な距離。距離の快適さがすごいなあ。

エロマンガ島の三人」は、ゲーム誌連載ということもあって語彙がゲームのこと当たり前のように出てくる。
もう、説明するだけほんと野暮なんだけど、知らないと流しちゃう。
飛行機の中でたけしの挑戦状の連想があってその後に女の話が来るのは、主人公が国外脱出するためには離婚している必要がある=別れ話を示唆してるし、しかも正しいアイテムもってないと、飛行機は爆発してゲームオーバー、っていう不安が空想の中で安全に消化されるっていう、ゲームの語彙で表現された豊かな世界なわけ。
こういう小説の表現のレベルで、文中に組み込まれてるのがすごい。